<この体験記を書いた人>
ペンネーム:夏子
性別:女性
年齢:45
プロフィール:同じ年の夫と私、子どもの3人で郊外の住宅街に住んでいる主婦です。毎日のんびり近所の公園を散歩して癒されています。
大学1年のとき、小さな会社で週に3日、1~3時間ほどアルバイトをしていました。
その会社が、なかなかとんでもな会社でした。
私の業務は、経理の女性(40代くらい)のお手伝いや電話番などでした。
日用の消耗品を定期的に配達する会社で、たいていのお客様は昔からのリピーターです。
決まった品を定期的にお届けするので、注文の電話はめったにかかってきません。
お客様からの電話は苦情がほとんどで、「配達の人が間違えた商品を届けた」とか「配達のバイクがぶつかって植木鉢が壊れた」などの電話が1日に数件かかってくる感じでした。
入って間もない頃のことです。
「〇〇と申しますが、Aさんいらっしゃいますか?」
名字のみで要件も言わない女性から電話がきました。
私はてっきり苦情の電話かと思い込んで、要件を聞かずに慌ててAさん(20代前半)に電話を回してしまいました。
すると数分後、Aさんが1階にある配達員の控室から2階にある経理の部屋にものすごい勢いでやってきて、大声で怒られました。
「サラ金の電話を回すんじゃねぇよ!」
どうやら電話をかけてきたのはサラ金の人で、お給料が出たのを見計らって督促の電話をかけてきたらしいのです。
そんなドラマみたいなことが本当にあるのだとビックリ。
そのときは珍しい経験ができたと思っていたのですが...。
日がたつにつれて、借金が滞って督促の電話がかかってくるのはAさんだけではないと気がつきました。
給料日前後に要件を聞いてもあいまいにはぐらかす電話が多く、そういう電話を回しても大半の配達員が居留守を使うのです。
「いないって言っておいて」
そう頼まれるたびに、私が嘘をつく羽目になります。
「申し訳ありません。△△は配達に出ていて事務所におりません」
適当に言って電話を切るのですが、そういう電話が多い日には「借りたお金はちゃんと返そうよ」と内心あきれていました。
当時、すでにお給料は銀行振り込みが主流の時代でしたが、その会社は現金でお給料を支給していました。
社員の名前と金額が書いた封筒にお金を入れるのは、経理のお手伝いをしている私の仕事です。
アルバイトを始めて4回目のお給料日、最近入社した配達員の男性Bさん(40代くらい)の給料袋の金額欄に「-147万円」と記載されているのを発見しました。
え、マイナス? なんのことか分からず「あの...金額の前に横棒書いてあるんですが、どうしたらいいんでしょう」と経理の女性に確認しました。
「あぁ、彼ね、社長(50代~60代くらい)に借金を肩代わりしてもらってるの。封筒にはお金入れないで空のままでいいわよ」
経理の女性はさらっと説明してくれました。
その後、社長は皆の前で空の給料袋を渡し、Bさんは自然体で受け取っていました。
ぺったんこの給料袋を見ても、誰も「え!?」という反応をしません。
マイナスの給料袋が特別なものではない雰囲気に、心底驚いてしまいました。
人気記事:「私も好きにするから、あなたも好きにしてね」50代妻はもっと好きにすればいい!《中道あん》
人気記事:《漫画》「ゆるふわ系義母」が超ストレス!! 家族の生活リズムを乱すマイペースぶりに唖然<前編>
人気記事:《漫画》給食室で「触るな」と言われた謎の箱...栄養士が隠していたあり得ない行為とは!?<前編>
- ※
- 健康法や医療制度、介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず事前に公的機関による最新の情報をご確認ください。
- ※
- 記事に使用している画像はイメージです。