「注文は一番安いのですね!」と元気に確認したレストラン店員。耳を疑う発言をした彼女はその後

<この体験記を書いた人>

ペンネーム:くもりのち晴れ
性別:女性
年齢:65
プロフィール:78歳の夫と2人暮らしの会社員です。

「注文は一番安いのですね!」と元気に確認したレストラン店員。耳を疑う発言をした彼女はその後 59.jpg

2018年頃、夫がよく利用していた、結構リーズナブルな外食チェーン店での出来事です。

お昼前に自宅を出て、近所にあるそのチェーン店に入りました。

最近でこそ、待機中のマスクや消毒、時間制限など何かと不便になりましたが、当時は気ままに食事をすることができました。

待合の椅子で何組か待たされた後、やっとの思いで着席。

ほっとしながらメニュ-表を眺めていると、格子で隔てた別のホール側にあるテーブルのほうから大声が聞こえてきたのです。

「ああ! 一番安いのですね!」

叫んだのは初めて見た女性店員でした。

オーダーしたと思しきお客は4人組で、私たちとあまり変わらない年齢のご家族か、お友達のようでした。

そんなことを思った直後、「そんなに大声で言わなくてもいいだろう! 安くて悪いか! それならそんなメニュー出すな!」と怒りに震える年長らしき男性の声が聞こえてきました。

さりげなく私が視線を戻すと同時に、一斉に振り向いたであろう他の客も気まずそうな顔をしていました。

「もう! 食事の気分じゃないわ! 失礼する!」

そのご家族は勢いよく立ち上がり、他の客の顔を睨みつけて出ていきました。

私たち夫婦も思わず振り向いてしまったことを申し訳なく思いながら、食事を早々に済ませお店を後にしました。

空腹も満たされず苦い気分だけが残り、結局スーパーでおやつをいっぱい買って帰る羽目に。

メニュー表を見れば値段も書いてあるし、「オーダー入りまーす。○○一丁」「へい! ○○一丁!」などと大声で注文を復唱するような店舗でもありません。

他の店員がオーダーを取ると「承知しました。○○ですね! しばらくお待ちください。お困りごとがございましたらお申し付けください」と金額ではなく商品の名前を、普通の音量で復唱して引き下がるのが常でした。

なぜ、あの女性店員は値段について触れてしまったのでしょう。

しばらく足が遠のいていましたが、1カ月ぐらい経ってから食事に行くと、叫んでいた女性店員の姿はありませんでした。

それから1年ほどたち、コロナで自粛生活が始まって外食をする機会も減っていました。

2022年になり、久しぶりにその店舗を訪れると、注文はタブレットに入力するようになっていて、なんとも愛らしいロボットが食事を運んでくれました。

夫は口頭で注文したいらしく「回転寿司じゃあるまいし」とブツブツ文句を言っていましたが、「タブレットやロボットは値段を叫んだりしないよ」と私が小声でささやくと、にやりと笑い食事を満喫していました。

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