<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ぴち
性別:男性
年齢:52
プロフィール:もったいない、とはいえ捨てるべきものは捨てよう、と思う52歳です。
私がまだ中学生だった頃の話です。
当時よく遊んでいた友人Kはとにかく物を捨てない性分でした。
ほとんどの人がシャープペンシルを使う中、Kだけは鉛筆でした。
なぜ鉛筆を使うのか、と尋ねたことがあります。
「鉛筆の芯のほうが折れない。シャープペンシルの芯はすぐに折れてもったいない」なんて言っていました。
Kは短くなった鉛筆のお尻を合わせ、そこをセロテープで巻いて「これで長くなったから使いやすくなった」と喜んでいました。
ちょっと行き過ぎ? とも思えるKの性分は、家庭の中で培われたものだったようです。
それを知ったきっかけは、Kの家で勉強会をしていた時でした。
勉強にも少々疲れを感じ、やや小腹が空いてきた私たち。
すると、Kがインスタントラーメンを作ってくれることになりました。
やがて、できたてラーメンが目の前に置かれ、割り箸を受け取ると、袋に入った割り箸はすでに割れていました。
ん? と思い、割り箸を袋から出すと、明らかに使用済みの箸です。
「この箸、誰か使ったやつだよ?」
「大丈夫。ちゃんと洗って袋にしまってるから」
「え? 割り箸って一回使ったら使い捨てだよね?」
「いやいや、箸もスプーンもお皿も洗って何度も使うのが普通でしょ」
何を言ってるんだ?という顔でそう返されました。
なるほど、Kの性分はこういうところから来ているんだなと納得した私。
Kの考えや生い立ちを否定する気もない私は、その話題はそれ以上深堀しないことにしました。
しかし、いくら洗ってあるとはいえ、誰かが使った割り箸でラーメンを食べられるかはまた別の話です。
どうしても受け付けられなかった私は、Kに新しい割り箸をお願いしました。
Kは渋々私に新品の割り箸を差し出し、「ちゃんと洗って、袋に戻して返せよ」と一言添えてきました。
後日、母から新品の割り箸を一膳もらい、Kに手渡したのですが...。
「この間貸したやつでいいのに。捨てたらもったいないぞ?」
Kとはその後、数年間はよく遊んでいましたが、お互いに社会に出て、結婚して所帯を持つと、次第に付き合いの頻度も少なくなってしまいました。
それでも30歳になった頃、Kを含めて所帯を持つ3人でお酒を共にする機会がありました。
Kも奥さんの影響なのか、以前のように「もったいない」と言わなくなったように感じました。
そして、お店を出る際、自分の使った割り箸を持ち帰らなかったKを見て「変わったな」と思う私でした。
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