怖いおばちゃんたちの輪に飛びこんでみたら...私の「葬儀演奏者」デビュー秘話

<この体験記を書いた人>

ペンネーム:みわちゃん
性別:女性
年齢:61
プロフィール:様々なリクエスト曲に答えられるよう 毎日、葬儀演奏に頑張っています。

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父はクラシック音楽が大好きで、私は3歳からピアノを習っていました。

そして音高、音大に進み、現在は音楽大学で講師をしています。

11年前、父(享年83歳)の葬儀で私(当時50歳)は、ピアノを弾いて父を見送りました。

父の大好きだったシューベルトの「アヴェ・マリア」、シューマンの「トロイメライ」、バッハの「G線上のアリア」、ベートーヴェンの「月光」の第1楽章を弾きました。

会葬してくださった方々は、みなさん父を思い浮かべ、涙してくれました。

「いい葬儀でしたね」と言ってもらい、しっかり見送ることができたかなと思えましたし、気持ちを切り替えて新しいスタートをすることもできました。

このことが、頑張って人生を全うした人に「ありがとうございました」の思いを込めてピアノ演奏をしたいと思ったきっかけです。

でも、どうせやるなら葬儀のことをしっかり分かってからにしたくて、父の葬儀を終えてすぐに葬儀アシスタントの仕事をすることにしました。

当然のことながら、自分がピアノを弾けること、ましてや音大で教えていることなどは誰にも内緒です。

棺の移動、宿泊部屋の掃除、ベッドメイク、食事の手配、祭壇のお花を花束にして渡す、喪家さんのご用聞きなどなど、やることは多岐にわたりました。

宗教はいろいろですし、無宗教のご家族もいます。

また、家族1人だけの式もあれば、大きい会社の社長さんの式も。

それぞれ空気感も違い、アシスタントをすることで勉強できたことはたくさんありました。

でも、職場の雰囲気にはびっくりしました。

いきなり1人のおばちゃん(60代)に「お前がやれよ!」と大声で怒鳴られました。

私、新人なんですけど...。

「このやり方はだめ、あれはだめ」なんて矛盾だらけの発言は日常茶飯事。

同僚の50~70代のおばちゃんたちは、意地悪な姑のような人たちだらけ...食事時は話すことさえできない雰囲気です。

それでも「やりたいことがあるんだ、負けてたまるものか、泣いてたまるものか」と黙って勤めました。

でも、心身ともに2年が限界でした。

上司にピアノの演奏ができることを初めて告げて、演奏のテストを受け、演奏担当になることができたのです。

衣装で初めて現れた私の姿に、おばちゃんたちは声もなく、あんぐりと口を開けたまま。

唖然としたおばちゃんたちの姿は、今でも思い出すたびに笑いが込み上げてきます。

でも、初めての演奏の後のおばちゃんたちの反応は予想外でした。

「お疲れさま、曲のセレクト、よかったよ」

えぇっ!? おばちゃんたちからほめられた!

アシスタントを経験してから演奏者になったのは、私が初めてだったようです。

一緒に仕事をする中で、いつの間にか私を同僚として認めてくれていたのか、おばちゃんたちは演奏者としての私を歓迎してくれました。

辛いこともあったけれど、アシスタントから始めてよかったと思っています。

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