<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ウジさん
性別:男性
年齢:60
プロフィール:昨年(2021年)1月に、ユキ(17歳のメス犬)が死にました。息子(25歳)を気に入っていた犬でした。
我が家に初めてのペットを迎えたのは、2003年の暮れでした。
妻(当時39歳)の知り合いに5匹の子犬が生まれ、もらい手がいないメスの子犬がいるというので、もらってきたのです。
犬を飼うことは妻が望んでいたことでしたが、一番喜んだのは当時小学1年生だった息子でした。
ユキと名付けられた子犬を「弟ができたぞ!(メスなのですが)」と言って四六時中かまっていました。
息子は姉(当時3年生)には全く頭が上がらない状態だったので、自分より下っ端ができたのが嬉しかったのでしょう。
犬は犬小屋で、が私のポリシーなのですが、まだ子犬ですし、氷点下になることも珍しくない地方なので、冬のうちは室内でケージに入れることにしました。
当時、共働きの我が家では、下校後の子どもたちは義実家に預かってもらい、早く仕事が終わったほうが引き取りに行くルールでした。
息子は義実家から帰ってくると、すぐにユキをケージから引っ張り出してじゃれ合っていました。
当時2人(?)の間でマイブームとなっていたのが「わんこニュース」です。
「きょうー、〇〇国がー、ミサイルを発射してー、それがー、飛んできたのでー、あらーむ(Jアラートのこと)がー、鳴りましたー」
こんなニュースを、膝の上に乗せたユキをキャスター役にして披露するのです。
「なんかの車がー、...えーと、ユキちゃんにぶっかりましたがー、...んっと、車のほうが壊れましたー」
「うちゅーじんがー、...えっと、どうしよっかな...、その、お姉ちゃんと結婚しましたー」
そのときどきの話題や想像したことをニュース調に披露します。
ユキは操り人形のように、前足を持たれてキャスターを演じさせられるわけです。
面白がって動画に撮り、当時聞きかじりで作った我が家のホームページにアップして、実家の両親(当時ともに71歳)に見てもらって楽しんでいました。
そんなある日のことです。
その日も「わんこニュース」が始まり、娘と一緒にカメラを回しながら視聴者になっていました。
「こんばんは、わんこニュースです。今夜もキャスターはユキちゃんです」
息子の膝の上にちょこんと収まったユキが、両手(前足?)をそろえてお辞儀させられました。
「えっと、そうだなー...今日はー、町でー、火事があってー、...ん?」
ニュースが始まってすぐに、息子がけげんそうな顔でユキの方を見下ろしました。
「...うわあ! ユキちゃん、シッコしたあ!」
いきなり膝の上で粗相をしたユキに、息子はすっかり動転してしまいました。
すると、娘が「消防士ユキちゃん、放水ですね」と絶妙なツッコミを入れたので、思わず吹き出してしまいました。
ユキの粗相でビショビショになり半泣きの息子と、キョトンとあたりを見回しているユキを見ながら、笑いはなかなか収まりません。
この日の「わんこニュース」は、動画には収めていたものの、息子の厳命によってお蔵入りしたのは言うまでもありません。
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