<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ウジさん
性別:男性
年齢:60
プロフィール:貸家に住めば、おのずからマナーというものが求められますが、これを意に介さない人が必ずいるものです。
今住んでいる場所に我が家を建ててから20年以上になりますが、その前は連棟住宅というのでしょうか? 2軒が屋根でつながった形の貸家に住んでいました。
当時はまだ息子を授かっておらず、妻(当時31歳)と娘(当時1歳)との三人暮らし。
いわゆる長屋ではなく、2つの一戸建てが屋根を共有している形で、2軒の間は屋根付きのスペースになっていました。
ここは両隣で共有スペースとして物置のように使い、冬用のタイヤやベビーカーなどを置いていました。
「まあ、特に境界とかはないので、お互い使いやすいように、できるだけそれぞれの建物に寄せて物を置くようにしてくださいね」
入居時に大家さんからあったのはこんな説明です。
入ってすぐの頃はまだ隣は空き家になっていたのですが、言われたとおり我が家の壁に沿って物を置いていました。
我が家が入居してしばらくすると、隣に20代後半くらいのご夫婦が入居しました。
しかしこのご夫婦、入居早々にこの共有スペースに物を置き始めたのですが、その置き方が大問題でした。
彼らは我が家のタイヤやベビーカーなどを奥に押し込んで、手前側のスペースに自分たちのタイヤや自転車などを置いたのです。
「いやあ、これはまいったな」
娘を連れて出かけようとしたときに、ベビーカーを出そうとしてこの事態に気付きました。
隣家の荷物の間を縫って奥に入り、ベビーカーを持ちます。
隙間を通すのは無理なので、出てくるときは頭の上にベビーカーを担ぎ上げないと出られません。
帰宅後は、隣家は出かけているようで、自転車がなくなっていました。
その分できたスペースを利用しつつ、我が家の壁いっぱいに寄せてベビーカーを片付けました。
ところが翌朝には、またお隣の自転車が手前に鎮座していて、我が家のベビーカーは奥に押しやられていたのです。
「あなたがいるときならいいけど、私はベビーカーを担ぎ出すのはきついわ」
たしかに、毎回これではたまりません。
タイヤ交換の時期になれば、タイヤも同様に担ぎ上げての出し入れとなるでしょうから、それも気鬱な話です。
そんな時に、たまたま隣家の奥さんが自転車を停めようとしている現場に遭遇しました。
今ならさり気なく伝えられるかと思い、声を掛けました。
「あの、ご自宅のタイヤを奥に入れて、その手前に自転車を停めるようにしていただけませんか?」
その奥さんは驚いたように振り向きました。
私は続けます。
「共有のスペースなんで、縦長に使えばお互い使いやすいですよね」
と、さらに大家さんの物言いを真似て確認します。
「え? ああ、気を付けますね」
と軽くいなされ、結局改善はされませんでした。
そんなある日、事件が起こります。
近所でタイヤや自転車を傷つけるいたずらが頻発したのですが、我が貸家もその被害を被ったのです。
ただし、我が家のタイヤやベビーカーは、幸い(?)奥に押し込まれていたので難を逃れました。
一方、隣家の自転車やタイヤは全て手前側にあったので、傷を付けられたり釘を刺されたりの被害を受けたのです。
「おや、位置が変わってる」
変化に気付いたのはその直後、我が家のベビーカーが一番手前に置かれていたのです。
隣家のタイヤはずっと奥に積まれていて、自転車もできるだけ奥に詰めて置かれていました。
マナーを守るようになったきっかけは少々残念な出来事でしたが、お互いに気持ちよくスペースを使えるようになったことにはホッとしたものでした。
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