<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ウジさん
性別:男性
年齢:60
プロフィール:滅多に会わない親戚だけに、突然の来訪でも貴重な機会と思うと余計に気を遣ってしまいます。
義父(84歳)には兄(87歳)がいます。
実はこの方の存在、妻(57歳)と結婚するまで知りませんでした。
義父が長男で跡継ぎだと思っていたので、結婚式の招待者に義叔父の名前を見たときは驚きました。
「なんというか、自由気ままな兄貴でね...」
気恥ずかしそうに義父が話してくれたところによると、この義叔父は実家の農業を継ぐ気はサラサラなく、弟である義父に任せて家を離れてしまったとのことでした。
義叔父は首都圏に出て起業し、そこそこの成功を収めてそのまま首都圏に住んでいるというわけでした。
義叔父は今もしっかりしていて、日本各地を自家用車で遊び歩いているのですが、突然4月に連絡が来ました。
義弟(48歳)から聞いた電話の内容は次の通りです。
「ああ、俺だ。近くに行くんで、奥さんに線香あげに行くからな」
2年以上も前に亡くなった義母(享年82歳)の供養に立ち寄ると言って、一方的に電話は切れたとのこと。
「なんで、今になって...」
「俺に聞くなよ。俺もちょうどその日は通院だしさ...」
義叔父が指定した日は、何とも都合の悪い日でした。
私たちは夫婦で久しぶりに宿を取って一泊旅行、義弟は持病の通院の日だったのです。
「...言い出したら聞かないんだから...ごめん、宿への出発、ちょっと遅れるかも...」
妻は申し訳なさそうに言いました。
認知症気味の義父(84歳)だけでは義叔父を迎えられないゆえの判断でした。
義弟が帰ってきたらすぐに旅行に出かけようと思い、2人で義実家に出向きました。
ところが当日、義叔父は言っていた時間に実家に現れなかったのです。
「いや、あんまり桜がきれいだったもんでなあ...」
「だったら、電話ぐらい...」
「行かないわけじゃないんだから、そこまでせんでもいいだろう?」
途中で急に花見をしたくなって、約束した時間に間に合わなかった、というのです。
「ちょっと、出かけてくる」
「は? お線香は?」
「後でな、せっかく来た機会に〇〇に挨拶してくる」
と、実家に着くなり知人に会うと言って出ていってしまい、しばらく戻ってきませんでした。
「ああ、やっぱり□□家の墓にも行っとかんとな...よく分からんから案内しろ」
帰ってきたと思ったら、今度は突然義母の実家筋の墓参りに行くと言い出しました。
「なによ急に。線香あげに来たんでしょ?」
「だから、こんな機会じゃないと筋通したお参りもできんだろ、ほら早くしろ」
妻が車に便乗しようとすると、荷物でいっぱいだから別の車で先導しろ、と言い出し、妻は渋々我が家の車で出かけました。
ところが間もなくして妻だけが戻ってきました。
「先導してる車を無視して道を変えるって、どういうつもりなんだか!」
どうやら義叔父は途中で道を外れていなくなったようです。
その後、午後も遅くなった時間に義叔父は義実家に戻ってきました。
「懐かしいお菓子を思い出してな、お供えにしようと思って買いに行ってきた」
義叔父は車で30分ほどかかる店の袋に入ったお菓子を、ドヤ顔で下げてきました。
「で? 今度こそお墓までご案内すればいいわけ?」
「いや、面倒になった。お菓子は仏壇に上げとけばいいだろ?」
あっけにとられている所に、通院を終えた義弟が帰ってきました。
「ああ、良かった! もう出かけないと間に合わないの、あとはよろしく!」
わがままに振り回されて爆発寸前だった妻は、義弟に義叔父を押し付けてそそくさと義実家をあとにしました。
宿に直行して、かろうじて夕食には間に合いました。
「今日1日、パーだわ。ほんと、ごめんね」
と不機嫌な妻のもとに義叔父からメールが届きました。
「もう少し上手く道案内できるようにしておけ」
ダメ押しの一言に妻も爆発。
散々な1泊旅行になってしまいました。
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