<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ひろえもん
性別:女性
年齢:57
プロフィール:猫3匹と夫と海辺の街で暮らす普通の関西のオバちゃんです。
私がフランスに住んでいた2015年頃、愛猫が産んだ子猫の中に、頭のテッペンが真っ白で左右が黒のちょんまげ頭のブサ猫がいました。
夫(当時46歳)と私(当時50歳)はとりあえず彼を「ニャンまげ」と名づけ、他の子猫ともども里親探しを始めました。
しかし、ニャンまげは里親候補をことごとく警戒し、「ワシはどこにも行かん!」と隠れてしまうので、ついに最後まで残ってしまいました。
すでに先約がいる美形のハチワレが「ニャオ〜」と彼の里親になるはずの人に甘えてしまい、「この子だったら欲しいけど、そっちの子はいらない」と帰ってしまいます。
ニャンまげは数々の里親候補から散々ブサイクとか可愛げがないと言われ続け、「可愛げはあります!」とムキになって庇い続けた私。
最後には「土下座されたってあげるもんか!」と開き直ってしまいました。
そうしてうちの子になったニャンまげは2018年、我が家が日本に引越しする日にまた頑固ぶりを発揮したのです。
羽田空港の検疫でニャンまげと個室に入った瞬間、私は通帳、カード、現金など全財産の入ったバッグを外のカートの上に置き忘れたことに気づきました。
「すみません! 全財産を外に忘れてきたので開けてください!」
「検疫終了まで開けてはいけない決まりです」
係官は全く融通を利かせてくれません。
扉は防弾扉のような厚さ10cmの重くて分厚い扉でした。
そのときです。
ニャンまげが検疫官の手をすり抜け、机の下に隠れてしまったのです。
私は「全財産を失ったらどうする!?」という緊張感から気を失いそうになっているのに、この厄介な武士猫は「身体には指一本触れさせぬ」と眼をギラギラさせ、下から睨んでいます。
「こっちは全財産がかかってるんだよっ!」と這いつくばり、彼を引き摺り出し、診察台の上に放り出しました。
早く終わってくれと祈りながら「おぬし、裏切りよったな!」というニャンまげの鋭い眼差しを避けるように、検疫の開かずの扉をひたすら見つめていました。
やっと外に出られたとき、検疫ホールはチェックを受ける外国人でごった返していました。
幸いなことに、ホールの真ん中にぽつんと置いてあるカートの上にバッグはありました。
助かった~、とホッとしつつ「裏切りの罪は重いぞ」と眉間に3本線を寄せるニャンまげを連れて無事に空港を後にしたのでした。
その後もニャンまげは元気です。
早朝すぐ餌を献上しない私たちへの制裁か、彼は毎朝5時45分、寝ている私たちの身体の上を走り回ります。
「エサ!」とみぞおちの上で思い切りジャンプするので、私たちは「グフッ」となり、目が覚めます。
先日、みぞおち攻撃をフトンを被って阻止したのですが、みぞおちが効かないならと顔面にジャンプ!
夫は眉間、私は唇から血を流す大惨事になりました。
また、ニャンまげは紙を丸めたボールをゴールキーパーのようにキャッチする遊びが大好きで、チラシに目を通していると「それは紙ボールを作るやつじゃの?」と寄ってきます。
そして、私が悲しそうなときはいつも紙ボールをくわえて私の前にペッと吐き出し「投げてみ」と言ってくるのです。
泣き疲れて眠ってしまったときも、朝起きたら紙ボールが枕元に転がっています。
昨夜、心配で様子を見に来たことを知ると彼の優しさを実感します。
ニャンまげは厄介な性格ですが、広く人や物を愛し、仁義を重んじる武士のような猫なのです。
手放さなくて本当に良かったと心の底から思っています。
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