<この体験記を書いた人>
ペンネーム:まさかず
性別:男性
年齢:44
プロフィール:若い者には負けたくないと、最近身体を鍛え、年齢に抗いはじめた父親44歳。
高校2年生になる16歳の長女がいます。
共学の学校に通っており、コロナ禍でも毎日授業と部活で慌ただしい生活を送っていました。
そんな中、男子高・女子高出身で奥手だった私たち夫婦とは違い、早くも彼氏を作ったようです。
帰宅して夕食を済ませると、早々に自分の部屋に籠り、何やらこそこそと会話を始めます。
「今日〇〇先生が...うふふ。そうだよね...うふふ」
どうも電話をしている様子。
「そんなことないよぉ~」
「...」
「そんなこと言わないでよ~」
私に大しては「ちげーよ。何それ? うざいんだけど」なんて言っているくせに、彼氏の前では猫を被っているようでした。
たまに公園へデートに出かけたり、バレンタインデーにチョコレートを作ったり、かわいいお付き合いをしているので微笑ましく見守っていました。
ある休日、珍しく部活も休みということで、長女は朝からダラダラしていました。
たまの休みなので、のんびりしてもいいかと、あまり口うるさく言わないことにしていました。
自分の部屋に入ったと思ったら「昨日〇〇先生が...」と、彼? との会話が始まったのかと思ったら「それは、△△なんじゃないの?」と男の声で返事が聞こえてきました。
あれ? と思いましたが、とりあえず静観することに。
そのうち、次女(13歳)三女(11歳)四女(8歳)も長女の部屋に入り騒ぎ始めました。
不思議に思い、部屋から出てきた四女に声をかけました。
「何見てるの?」
「何も見てないよ。」
「動画を見てるんじゃないの?」
「何でもないよ。何でもないもーん」
とそそくさと部屋に戻っていきましたが、明らかにあやしい。
そっと部屋のドアに近づき中の声に聞き耳を立てました。
「もう、出てってくんない!」
「えー。もう? つまんなーい」
「いいじゃん。俺は大丈夫だよ」
「ごめんね。あんたたち、いい加減にしなさい!」
「はーい」
次女たちが部屋から出てきたとき、ドアの中を覗くと、部屋の真ん中に長女のスマホが。
ちょうどそこから声が聞こえてきます。
「さすがに四姉妹は賑やかだねぇ」
どうも、彼氏とLINE電話をスピーカーにして、娘たちと会話をしていたようです。
さっきちらっと聞こえらのは彼の名前だったのか、と思いつつ「何してるの?」と声をかけたのですが...。
「ちょっとやめてよ!」
長女は私の顔を見るなりドアを閉めてしまいました。
後で聞いてみると、最近はLINE等の通話アプリで相手とつなぎっ放しにして、他のことをしながら会話し続けることが多いそうです。
我が家にはネット回線があるので、かかるのは固定費のみ。
どれだけデータ通信をしても料金は変わりません。
「彼氏君とずっとつなぎっ放しなの?」
「そうだよ。みんなやってるし。私だって友だちとは前からやってたよ。友だちのときには何も言わなかったくせに、どうして彼氏だと文句を言われなきゃいけないの?」
「ま、まぁな」
引き下がったものの、釈然としない気持ちでいっぱいでした。
「お父さんのときはなぁ、スマホなんかなかったから、彼女の家に電話して相手の父親が出てきたり、テレフォンカードがなくなって、親のを勝手に使って怒られたり、なぜか電話代が急に高くなったと嫌味を言われたり、大変だったんだぞ」
なんて思ったものの、言ったとしても娘にそんな話は通じるわけもありません。
「でも、これだとお金もかからないし、疲れたら切ればいいし。ちょうどいいんだよ」
なんて言われてしまうでしょう。
複雑な気持ちにはなりましたが、妙に納得する面もありました。
「そっか。今はリモートワークが流行ってるけど、リモートでデートしたり、お互いの家に遊びに行ってるってことか」
時代の流れなのか、これもコロナのせいなのか。
約束通りに彼女が来てくれるか心配しながら、待ち合わせ場所で傘をさして待っていた甘酸っぱい記憶を思い出しながら、あれはあれでよかったなと思いました。
さらにデジタル技術が進化して、この子たちの子ども(=孫)たちは、どんな付き合い方をするんでしょう?
アナログな私には全く想像がつきません。
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