<この体験記を書いた人>
ペンネーム:晴れのち曇り
性別:女性
年齢:65
プロフィール:78歳の夫と2人暮らしの会社員です。
寒い冬のある日のこと、隣町に住む70代の知人女性の家に所用があって出かけました。
彼女は健康を維持することに対してものすごく貪欲で、いろいろな健康器具を取り揃えて、今も増え続けているそうです。
前回、彼女の家を訪問したのは初夏のことなので、今回はおよそ半年ぶりの訪問です。
インターホンを押してしばらく待つと「ちょっと手が離せないから裏口に来て」と言われ、日当たりの悪い裏口から入るとそこは台所でした。
えらく冷え込んでいるので「暖房はつけないの?」と尋ねると、「もったいないし、健康に悪い。自然が一番」とのこと。
部屋の温度は6度でした。
年中20度前後に部屋の温度を保っている家を出て、暖房のきいた車で出向いた私にすれば過酷すぎる環境です。
彼女は気前のいい人で、訪問すると何かしらの接待があったり、お持たせがあったりします。
その日も、忙しいのにもかかわらず茶菓子を用意してくれました。
そして笑顔で勧めてくれたのですが、あまりの寒さにそれどころではなく、お詫びして暇を告げたのですが...。
「暖房のきいた所で過ごしてばかりいると不健康よ! これから散歩に行くから一緒に出かけましょう」
帰ると言ったんだけど...と思いつつ、彼女の言うことももっともなので、渋々ながら少しだけ歩くことにしました。
以前も彼女と一緒に歩いたことがありました。
そのときは30分程度、近くのお寺を散策して楽しかったので、そのつもりで出かけました。
ですが、見覚えのあるお寺はあっさり通り越し、県道を越えさらに2キロほどどんどん進んでいきます。
道中、彼女は最近トレーニングに使っているダンベルの重さを上げたのだと教えてくれました。
以前は、部屋の中の健康器具をいろいろと紹介して実演してくれましたが、今回はすぐに帰ると言ったため、増えた器具を私に見せられなかったことがとても残念そうです。
しばらく歩いた後、ふとあることに気づき、立ち止まり思わず、「え! うそ」と小さな声が開いた口から飛び出しました。
緩やかな丘になっているところを歩いているので、振り返ると見えるはずの彼女の自宅が見えません。
なんと、歩いているうちに山を越えてしまったようなのです。
「ねえ、どこまで行くの?」私の問いに彼女は涼しい顔で、「え? まだ小一時間歩くよ」と答えました。
時間もそれほどないし、何より車までまた歩かなければならないと思うと、とても無理!と、彼女にお詫びして私は引き返しました。
雨などで外出できない日には、自宅で健康器具を使って体力を維持しているという彼女は、とても70歳を超えているようには見えません。
ちなみに彼女は早くに夫と死別し、お子さんも独立されて一人暮らしです。
言葉通り電気に頼らない生活を送っており、一度見せてくれた電気代は2000円ほど。
我が家の10分の1以下だと目をむいたのを覚えています。
無駄はせず、自分にとって必要なものにだけお金を使う、なんて素晴らしい生き方だと思いますが、私には絶対真似ができません。
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