<この体験記を書いた人>
ペンネーム:さくらみちこ
性別:女性
年齢:55
プロフィール:日常の中にこそ幸せがあるって本当ですね。
59歳・技術職の夫、55歳ライターの私、16歳で結婚、出産、後にシングルマザーとなった長女28歳、2人の孫(11歳と8歳)の家族です。
そんな我が家に起こった出来事を紹介します。
2021年の夏休み最後の日のこと。
「明日から学校だ!」
そう言いながら、下の孫(小2)が学校の準備をしていました。
孫は全部の荷物をランドセルに入れようとしていたのですが、どんなにギューギューに押し込んでも入りません。
新学期の初日って荷物がとってもたくさんありますから...。
孫は「やっぱり全部は無理か...」とつぶやいて、手持ち用の布バッグを出してきました。
その様子を何気なく見ていたところ、バッグの破れが私の目に飛び込んできたのです。
「そうだった! 忘れてた!」
実はこのバッグ、洗濯したときに破れていることに気づいていました。
そのことをすっかり忘れていて、孫にも母である娘にも伝えていませんでした。
バッグの状態は本当にひどい有様。
きっとズルズルと引きずったのでしょう。
底の部分が全体的に擦り切れていて、ところどころに大きな穴が。
中身が見えてしまうほどです。
こうなると買い替えるしかないのですが、このときすでに買物に出かけられる時間ではありませんでした。
とはいえバッグは明日必要ですので、ひとまずいつもの手縫いで修理することに。
一抹の不安があったものの「まあ、何とかなる」と、軽い気持ちで縫い始めました。
手芸は好きなのでいくらか自信があったのですが...出来上がりはお世辞にもキレイとは言えません。
「ごめんね。キレイに直らなかった。新しいバッグを買うまでこれで我慢してね」
そう謝ったんですが、孫は縫い目をまじまじと見ながら「OK、いいよ!」と笑ってくれました。
こうしてなんとか新学期の準備を終えたのです。
その週末、「バッグを買いに行こう!」と孫を誘ったのですが、孫は「いらない」と言います。
「なんで? 行こうよ」と再び誘ってみたのですが、やっぱり「いらない」。
そして、すぐに私に目を向けて言いました。
「俺は新しいバッグは買わない。今使ってるこれが好きなんだ。それに、ばあちゃんがせっかく直してくれたんだから、新しいのはいらないの。俺はこれを6年生まで使うんだ」
その言葉に胸がジーンとなる私。
思えば孫は、私がバッグを直すところをときどき見に来ては、「大丈夫?」と何度も声をかけていました。
そして、私が針で指先を刺してしまったら、カットバンを持って「俺に任せろ」と、助けてくれたのです。
きっと、自分なりにできることを探していたのでしょう。
それから程なくバッグの修理が終わり、孫に渡したところ、「ありがと! ばあば!」と言いながら、バッグをギュッと抱きしめていたのです。
本当に嬉しそうな表情で。
その愛らしい姿はきっと私の心にずっと刻まれるでしょう。
日常のちょっとした風景にある幸せをかみしめた出来事でした。
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