こっそり会社で私物コレクションを保管していた同僚。コロナ禍の影響で訪れた、自業自得な悲劇

<この体験記を書いた人>

ペンネーム:まるおじ
性別:男性
年齢:53
プロフィール:専業主婦の妻と高校生、小学生の子ども2人の4人家族の父です。年明けから子どもの中学・大学のダブル受験で大忙しでした。

こっそり会社で私物コレクションを保管していた同僚。コロナ禍の影響で訪れた、自業自得な悲劇 5.jpg

私は勤続30年の中間管理職のサラリーマンです。

新型コロナウイルスは社会にさまざまな影響を及ぼしましたが、私の同僚にも思わぬ余波(?)がありました。

2021年の3月の話です。

私は2020年の春に転勤で今の職場に来たのですが、部下となった同僚の1人に熱狂的なアニメファンの男性(40代後半)がいました。

彼は昔からアニメ関連の雑誌や原作漫画などのコレクションを行なっており、学生時代から集め続けた本は数千冊に及んでいたそうです。

彼は結婚後に会社近くにマンションを購入し、自宅にアニメ本などを所蔵するための趣味部屋を設けていたそうですが、2人の娘さんが産まれ、だんだん自宅が手狭になっていきました。

そして、3年前に下の娘さんが小学校に上がると、それまで2人で一部屋だった娘さんたちが別々の部屋を持ちたいと主張し始めたそうです。

そして家族会議の結果、趣味部屋が次女の部屋になることとなり、彼の大量のアニメ本の行き場がなくなってしまいまったそうです。

当初は近所にトランクルームを借りていたそうなのですが、娘2人の教育費や自分の趣味の費用の負担が重く、すぐにレンタル料の支払いが苦しくなったそうです。

なんとかアニメ本の処分だけは避けたかった同僚が思いついたのは、あきれたことに会社の倉庫の空きスペースにそのコレクションを保管することでした。

会社の入居しているビルにはいくつかの書類保管用の倉庫がありました。

そのうちの一つは予備スペースとなっており、保管期限が過ぎている書類や遊休事務用品が保管されているだけで、普段誰も出入りすることもない場所だったのです。

彼はそこにコレクションを持ち込んで一時的に置いておくことにしました。

もちろん、会社がそんなことを認めるわけはなく内緒で持ち込んだのですが、事情を知る同僚たちは快くは思わないものの、特に問題もないことから黙認している状況でした。

私は点検でその倉庫に行ったときに、初めてそのことを別の部下から教えてもらいました。

会社の古いダンボール箱に入った彼のコレクションは、一見すると私物を持ち込んでいるようには見えなかったことから問題にもならないだろうと思い、私も見て見ぬふりをすることにしました。

しかし、2021年3月に長期化するコロナの影響で我が社もオフィスを大幅縮小することが決定。

我々のオフィスでも遊休スペースを解約するとの連絡があって一週間もしないうちに、その倉庫は遊休物を保管しているだけだからということで閉鎖されたのです。

中にあったものは全て廃棄されてしまいました。

もちろん、彼のコレクションも他の書類とともに処分されてしまったのです。

その頃は社員のほとんどが週の半分以上が在宅勤務となっており、倉庫の書類が処分された日は私も彼も不在でした。

彼は後日出社したときに初めてこのことを知ったのですが、誰にも怒りをぶつけることも出来ず、ただ落ち込むばかり。

自業自得の出来事ではありましたが、このことは知らなかった人にも伝わり、しばらく彼は周囲から冷ややかな視線を浴び続けることとなってしまいました。

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