心が弱っている時、ふと、どうしようもない不安に襲われるという経験は、誰にもあると思います。マロニエさん(62歳/当時38歳)の場合、離婚後がまさにそんな時期だったそうです。「今すぐ誰かに助けてほしい」という衝動に駆られ、よくわからないカウンセリングを受けてしまった苦い体験があるそうなのですが...。
※実際に身の回りで起きた実体験エピソードに基づき構成しています。
私が離婚したのは24年前、38歳の時でした。
前向きな決断のはずでしたが、離婚というのは大きなストレスだったようで、時々なんとも言えない不安に襲われることがありました。
その日は特に不安感が強く、今すぐ誰かに助けを求めたい衝動に駆られ、専門のカウンセラーに相談しようと思ったのです。
ネットもない頃のことで、電話帳で探したのですが、あいにくその日は日曜日で、それらしきところはどこも休み。
やっと「日曜も可」と書いてあるところを見つけて電話をすると「これから来てください」との返事。
ほっとした私は、その「○○心理研究所」という、後で考えるとひどく胡散臭いカウンセリング機関を訪ねたのでした...。
そこはマンションの一室で、完全予約制の様子。
白衣を着た男性カウンセラーは、私と向かい合って座り、費用の説明を始めました。
「1時間の10回コースになっていて、1回1万円で全額前払いです」
(え? てことは、今10万円払えってこと?)
混乱した頭で私は言いました。
「今、持ってないです」
「では、次回用意して来てください」
財布を見ると1万円だけ持ち合わせがあったので、とりあえずその日の分は支払い、10回コースの契約書に署名させられました。
そうこうするうちに、だんだん気分も落ち着いてきて、我に返った私。
「自分はここで何をやっているんだろう...」と思い始めましたが、来てしまったものは仕方がありません。
こうして私は、その「○○心理研究所」の10回コースに通うことになり、2回目に残りの9万円を支払ったのでしたが、その治療たるや実にお粗末なもの。
カウンセラーは2回目の診療で私をカウチソファーに寝かせ、「今までで一番楽しかったことを思い出してください」とシンプルに尋ねました。
3回目の診療では「温かさを感じてください」とだけ言われ、瞑想のようなことをして終わりました。
4回目以降も、誰にでも言えるようなことをただ繰り返すだけ。
私の話を聞くでもなく、安心させてくれるわけでもありません。
こちらは心の不安を取り除いて欲しいのに...。
7回目の診療で「日常の生活はなんとかできています」と応えたら、なんと「じゃあ、いいじゃないですか」などと言われる始末...。
「いいじゃないですか」って、さすがに素人すぎる言い草ですよね。アドリブでも他の言い方はなかったのでしょうか...?
いい加減なカウンセリングに腹が立ち、途中でやめようとも思いましたが、全額支払ってしまってもったいないので、とにかく10回通い続けました。
人間、心が弱っている時は、藁をもつかむ思いで助けを求めてしまいます。
そこにつけ込んだこういう詐欺みたいな商売もあるのだと知りました。
62歳の私にとってはずいぶん前のことですが、苦々しい思い出として今でも時々よみがえる「忘れたい」記憶です...。
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