<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ひろえもん
性別:女
年齢:57
プロフィール:海辺の街で3匹の猫と夫と一緒に暮らす普通の関西のおばちゃんです。
約20年前、私が30代後半の頃に4つ下の夫と、サメが出没することで有名な南国の島に行きました。
スキューバダイビングをするとき、どのポイントに行きたいか聞かれると、夫はいつも必ず「サメの洞窟」と答えます。
私も喜ぶと思って「ここ結構サメ出るらしいよ!」と言ったのですが、その瞬間から夫は二度と海に入らなくなりました。
「さっきまで喜んでシュノーケリングしてたのに...。急に日焼けを理由にし始めたけど、ホンマにサメ好きなん?」
そう疑う私。
このときで懲りたかと思いましたが、相変わらずダイビングで希望のポイントを聞かれると、夫は「サメいっぱいの洞窟!」と言い続けていました。
ですが、この自称サメ好きの夫、絶対にサメの洞窟には行けません。
なぜなら、彼の行動が危険だからです。
夫はこむら返りの常習犯。
こむら返りを起こすと、いつも水の中で派手なジェスチャーでガイドを呼んで「フィンを引っ張れ」と泡をブクブクさせ、暴れまくる迷惑な客です。
しかも、サメを相手にこんな行動をするのはとても危険です。
サメは目が悪いのでじっとしていれば気づかないのですが、泡は見えるので近づいて来ます。
派手に動いたら活きのいい獲物だと間違って噛みつかれる可能性が高いのです。
数年前に、タイガーシャーク(イタチザメのこと)のポイントに行ったことがありました。
ガイドがナイフでスキューバタンクをカンカン叩くと、1.5mぐらいのタイガーシャークが5匹ぐらい周りを回ってくれます。
この旋回は獲物を捕まえるときの行動なのですが、そこはパスという海流の通り道で、全体的に開けた場所なので洞窟よりは危険が少ないと思われます。
それなのに夫はビビったのか、こむら返りを起こしていました。
私がガイドなら、危なっかしい夫をサメの洞窟には絶対に連れていかないでしょう。
それでも懲りずにサメポイントをリクエストする見栄っ張りな夫。
私は内心冷ややかな目で見ていました。
ですが、そんな彼も大きなサメに遭遇しているのです。
約10年前、クジラと泳げる島に行ったとき、夫はシュノーケリングで外洋につながるリーフ(海底に珊瑚礁が広がって水面近くまで張り出している場所)の切れ目につかまり、小さなサメを見て楽しんでいました。
強い波に翻弄されて岩のギザギザでケガをして血を流しながら...。
盛んに「サメがいる!」とスキューバダイビング中の私に合図を送る夫。
仕方がないので、夫がしがみついているリーフの切れ目まで近づくと、赤ちゃんザメが3匹泳いでいました。
「かわいい!」と思った瞬間です。
目の前が暗くなったと思ったら、面前に体長3m弱のサメが現れたのです。
夫はお母さんザメに見張られていたようです。
私の周りを回るお母さんザメ。
こういうときサメは自分の口より大きな獲物は食べないと聞いていたので、大きく見せるために、サメに自分の身体の側面を常に見せるようにして様子を伺いました。
私の周りを2周ほどした後、サメはゆっくりと沖に向かって泳ぎました。
その間も夫は、お母さんザメに気づいている様子はありませんでした。
意図せずに憧れの大ザメと接近した夫。
しかし、「夫に知らせると驚いてこむら返りを起こして危険だ」と思い、何もしらせずにおきました。
怪我をして血を流し、期せずしてサメを呼んだ夫。
幸い、夫も無事に岸に戻ってきたました。
こんな様子で、夫はいつまで「サメ好き」を自称し続けるのか...私としてはこっそり悩んでいます。
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