両親の介護を巡る不安。そんな時夫がかけてくれたうれしい一言

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ペンネーム:NUTS33
性別:女
年齢:50
プロフィール:会社員。自営業の59歳の夫と大学生の子供が二人。夫の両親を見送って一息ついたところです。

※ 毎日が発見ネットの体験記は、すべて個人の体験に基づいているものです。

◇◇◇

私の両親は母が75才。循環器系の病気を患っているので、毎週のように病院に行きます。

月に1度はCT検査が入ります。今のところ小康状態なので、何とか一人で通院できている状態です。

父は81才になりますが、持病もなく元気です。5年ほど前に車の免許は返納しました。昨年、飼っていた犬が亡くなってしまい、今は二人、古くなってしまった小さな家でひっそり暮らしています。

私が思うに、良くも悪くも両親は人に頼ることがありません。私は会社員で休みも少ないのですが、平日に休みが取れる仕事なので病院に行く際も「送迎しようか」と申し出ると、「いいから、いいから」と通院日を教えてくれません。10年前に入院した際も、連絡があったのは退院した日でした。「お母さん、入院してたの」と。

父も年々頑固になっていくようで、自分の主張を曲げません。私が実家を訪ねるといつも、「何かあったら施設に放り込んでくれたいいから」というのです。

私は、夫の両親の介護を経験しています。あの大変だった日々は忘れられません。そして「はいはい、じゃあ明日からね」なんて簡単に施設に入れるものではありません。実際はどちらかが入院して、闘病生活があって、亡くなって、どちらかが残されて、それから「どうする」という話だと思うのです。

たぶん私は入院した方と、一人で家にいる方と、2人の面倒を見なくてはなりません。というか、私が気になって仕方がなくなると思います。

私には最近になってやっと結婚した2歳下の弟がいます。近くに住んではいますが、共働きですし、めったに実家には行かないみたいです。

もとより両親共に、「弟と弟の嫁の手はわずらわせたくない」と常々言うのです。近くにいる弟の家に行ったことすらありません。もちろん娘の私にも同じことを言ってくれるものの、客観的に見ても、娘の私に役目が回ってくるのは間違いありません。

両親の介護が嫌なわけではないのです。幸い私も車で20分くらいの距離に住んでいます。でもその距離を、仕事をしながら毎日のように通うことができるのか不安です。お恥ずかしい話、私の家は親と一緒に住めるようなスペースはなく、経済的な余裕もないので、引っ越して別に部屋を借りてなんてことも、現実には難しいと思います。

そんな、もやっとしたものを抱えつつ、もう何年も経ちました。きっと、あと数年で予想していた現実がやってくるでしょう。正直、そうなったら夫や子供達にも面倒をかけると思います。

でも、ある日、実家から帰ってきた私が夫に「うちのお母さんもいつどうなるかわからないし、あの家も古いし、お父さんは頑固だし」と愚痴をこぼしたら、夫が「自分の親なんだから、面倒見るのは当たり前だろ。俺の親でもあるんだし、自分たちが元気でさえいたら、何とかなる」と言ってくれました。

常日頃から「金はないけど心配すんな」的な、大らかなんだかいい加減なんだか分からない夫なのですが、その一言でなんか本当に救われました。一人で抱えなくてもいいんだな、私には味方がいるんだな、と。

その時がきたら、1つ1つ、自分のできることを頑張って行こう、それでいいんだな、それしかないな、と思うことができるようになりました。

それからは、開き直れたというか少し肩の荷が下りたというか、ずいぶん楽に過ごせています。「今度の休みは何か甘いものでも持って行こうかな」と。

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