認知症と診断されてすぐに施設探し。抵抗はあったけど早めの行動が大切だった

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ペンネーム:ぴろ
性別:女
年齢:53
プロフィール:遠距離介護していた母が施設に入居しました。ひとまずほっとしている娘です。

※ 毎日が発見ネットの体験記は、すべて個人の体験に基づいているものです。

◇◇◇

母(77)が田舎からでてきて、娘である私のいる市のサービス付高齢者住宅に入居して1年が過ぎました。今は認知症になってしまって1分前のことも忘れてしまっていますが、母は昔から明るい人でした。

その施設に入居することになったのは、それまで母と一緒に住んでいた父が亡くなり、認知症の母一人では住めなくなったためです。母の子供は娘2人で、私は長女。2人とも仕事をしているので日中一緒にいることはできません。母は私たちの家を交互に行き来しながら暮らしたいと言っていたこともありました。その言葉を聞くと切ない気持ちになります。現実問題として母にかかりきりにはなれないと判断、施設に入ってもらう決断をしました。

今でも時々これでよかったのかと考えるときもあります。

母がおかしいなと感じてから病院へ連れていき、認知症の診断を受けたのは6年ほど前です。

その時この先はどうなるのだろうかという不安から、病院の医療相談室に相談しました。そうしたら、その時担当してくださった方がすぐに施設を探した方がいいと言ったのです。私はまだそんなことは先の先のことだと思っていたので、本当に驚きました。その時点の母はまだ全然大丈夫だと思っていたのです。少し物忘れが強いだけと。

思わず、あなたが私の立場でもそうしますか? とたずねていました。

そうしたら「当然です」という答えが。

それから休日にアポイントを取って施設を見学しました。自宅から徒歩圏内の施設を4軒回りました。パンフレットをもらい、質問をし、施設の雰囲気を見ました。

その時は結局施設に入ることありませんでした。しかし主介護者である父が急死したため、見学から5年後、この時、見学した施設に入居することになったのです。

突然のことだったので、母の身の振り方も検討している時間はなく、すぐに決めなければならない状況でした。

この時の見学体験がなければ、父の死から1カ月かからずにスムーズに施設を決めることはできなかったでしょう。予備知識が全くない施設選びは不可能だったと思います。

父と暮らしていたころは数カ月おきに会いにいくたび、母の認知症が進んでいくような気がしていましたが、1年前の母と今の母は認知症は大きく変化していません。

認知症と診断された当時は、どこか心ここにあらずという表情を浮かべていた母でした。

多分、母自身何かおかしいと、自分はどうなってしまうんだろうという不安が、表情を暗いものにしていたんでしょう。父と物忘れをめぐる喧嘩がたえなかったのも、認知症が進んだ原因だと思います。施設に入居して適度なレクリエーションと栄養に気を配った食事、規則正しい生活が母を以前より元気にしてくれたと思っています。私達娘に気を遣ってくれているのかもしれないですが、「ここ(施設)にいると淋しくないんだよ」と言ってくれます。

といいながら、「そろそろ家に帰ろうかと思うんだけど、お父さん心配してるよね」と言ったりもします。説明すると、「ああそうだったお父さん死んだものね」と言ってみたり。日々気持ちが変わるようです。

それでも今の母はいろいろな不安から解き放たれて、施設の自分の部屋でテレビを見ながらくつろいでいます。私と妹も施設が近いので、週に2回は母とコーヒーを飲みながら昔話をしたり、写真を見たりしています。ときどき外出して自宅で一緒にご飯を食べたり、散歩にでかけたりしています。

笑顔で笑い合える日もあります。冗談を言ったりもする、お茶目な母です。できるだけ会いに行くようにして、母に忘れられないようにしたいです。

これからどんな風に進んでいくのかわからないけれど、できる限り一緒に笑い合える日々を過ごしていきたいなと思っています。

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