一気に「あの頃」へ。小学校の同窓会は、高校や大学のそれとちょっと違う

pixta_22877317_S.jpg

ペンネーム:はっぽーしゅ
性別:男
年齢:56
プロフィール:1961年関西生まれ。バブルのどさくさで大手メディア企業に潜り込み、なんとかごまかして生きてきた。50才を過ぎてさすがに化けの皮がはがれ、肩たたきの対象に。今年1月にやっと応じた早期退職ビギナー。

※ 毎日が発見ネットの体験記は、すべて個人の体験に基づいているものです。

大学時代から東京に出てきた地方出身者で、そのまま東京で就職し、30年以上サラリーマン生活を送ってきた、よくある男です。大都会での暮らしは刺激的で楽しく、後ろを振り返ることも地元に後ろ髪を引かれることもなく、20代から50代まで生きてきました。なにせ生まれは高度成長ど真ん中の1961年。幼稚園時代にオリンピック、小学校では大阪万博。中学でロッキード金脈事件、大学時代に「ひょうきん族」と「笑っていいとも」が始まり、社会に出るやいなやバブルに突入。生きることとはイコールひたすら上を向いて浮かれ騒ぐこと、と信じてきた宿命の世代です。二つ上の姉とも三つ下の妹とも違う私のメンタリティは、きっとこの世代効果もあるのだろうと、自分自身を今振り返って、実感しています。


さて、同窓会とは、人が生きていたそれぞれの時代を振り返り、懐かしむための好機です。「いけいけどんどん」世代の私にとっても、それは同じ。何度か出席してきたのは大学時代の同窓会で、おおむねの話題は在学中から社会に出て今まで。バブルの浮き沈みに翻弄されてきた同期は、大手商社の役員から、定職につかず親の遺産で食いつないでいるやつまで、それこそ「勝った」「負けた」様々です。いずれにせよ、社会の中の自分という現在について語り合うことが多いです。仕事と家庭のリアリティに満ちた話がメイン、ある意味日常生活の延長線のような時間です。


中学・高校と進学校で過ごした私にとっては、中高の同窓会も似たようなもので、同期の連中はだいたい同じような人生行路をたどっています。同じような境遇で社会人となり、勝った負けたで人生を戦い抜いてきた上昇志向の申し子たち。
しかし、さらに遡って小学校時代となると、様相はかなり異なってきます。集まる面々のバリエーションは非常に多様になり、共通体験はそれこそ小学生だった当時のことばかりになります。時代や時間を一気に飛び越え、まさに「あの頃」を振り返る機会になるのです。


3年ほど前、まさにそういう機会がありました。卒業後40年を超えて、初の小学校の同窓会が開催されたのです。我々上京組も参加しやすいようゴールデンウィークの最終日に、地元のホテルで行われました。幹事の頑張りで、同期約200人のうち70人近くが集まりました。担任だった先生も、他界された一人を除き全員が参加してくれました。


ごく数名、東京で会っていた連中もいましたが、ほとんどが卒業以来初めてか、せいぜい地元にいた高校時代までに顔を合わせただけの面々。共通の話題といえば当時のことばかりになるので、いきおい頭のひきだしを一所懸命にかき回すことになりました。すると、ふと気が付くと不思議なことに、気持ちまで当時に返っている自分に気付きました。


学校まで売りに来ていた学研「科学と学習」、わけが分からなかった方陣算、建築現場で振り回していた棒切れ、蛇を捕まえていて朝礼をすっぽかし張り倒されたことなど、一気に現実味を帯びて頭の中に蘇ってきました。口調も、目の前の話し相手も、なんだか小学6年生そのままのようになっていったのです。


40年の時を経ても、なんとなく面影は残っているもので、たいていは名札を見ないでも誰か分かりました。ただ、6年1組だった私、面白いことに3組ぐらいまでは顔と名前が一致するのですが、4組、5組となるとほとんど憶えていないのは、ある意味驚きでした。子供時代の記憶ですから、教室の距離が遠いとそれだけで物理的に、記憶にとどまらなかったようです。


ただ男子に比べ、女子は話しにくかったです。奥手だった私、小学校時代に女子と話した記憶があまりなく、共通体験が少なかったからでしょう。自分にとって、この同窓会での人間関係は、小学生時代のままでした。つまり、まだ競争も上昇志向もなく、社会的立場も勝ち負けも関係なかった、あの頃。


大学や高校の同窓会では、なかなかこうはいきません。今の職業や地位に照らして、勝った負けたの意識が多かれ少なかれ透けてきます。より大人に近い頃の出会いですから当然でしょうし、まして「いけいけどんどん」の時代を生きてきた私には、本能のように競争意識が刷り込まれてしまっています。共通体験として受験や就職を持っている知人とは、関係の根底に競争があるのでしょう。


今まで多くの同窓会に出席してきましたが、この小学校同窓会が一番印象に残っています。時代的に右上がり上昇志向を余儀なくされた私でも、さすがに子供時代には社会的優劣や勝負を意識していませんでした。でも50代になるとさすがに、上を目指して頑張ることにいい加減疲れてきました。


私は言うまでもなく、社会人としては負け組です。大人になってから知り合った仲間内での会話は、どうしても現実世界とつながってしまいます。そんな私がふと振り返るには、何の勝ち負けもなかった小学生時代は、心の休まる良い思い出でした。


これを読んでくださって、もし今まで一度も小学校時代の同窓会に出席されたことがないなら、一念発起、企画してみるのはいかがでしょうか。SNS時代、案外うまく消息はたどれるものです。

健康法や医療制度、介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず事前に公的機関による最新の情報をご確認ください。
記事に使用している画像はイメージです。

この記事に関連する「みなさんの体験記」のキーワード

PAGE TOP