「僕がいなくなっても仲良くね」別居中の夫婦をゆっくり交互に見つめ、旅立ったワンちゃん

<この体験記を書いた人>

ペンネーム:濃姫
性別:女性
年齢:45
プロフィール:夫(47歳)、娘(19歳)、息子(13歳)の4人家族。夫の実家の飲食店を手伝う兼業主婦。夫とは現在離婚に向けて話し合い中。

「僕がいなくなっても仲良くね」別居中の夫婦をゆっくり交互に見つめ、旅立ったワンちゃん 36.jpg

2006年に結婚した義妹(42歳)と義弟(50歳)は、結婚当初は鳥好きな義妹が飼っていたインコ3匹と暮らしていました。

しかし2007年、買い物のついでにふらっと立ち寄ったペットショップで、義弟が生後3カ月のチワワに一目惚れをして、Aちゃんと名づけて家族に迎え入れました。

もちろん義妹もかわいがり、2人で大切に育てていました。

義弟はAちゃんを溺愛していて、Aちゃんも義弟が家にいると、常に義弟のかたわらか膝の上でくつろいでいたそうです。

特に大きな病気もせず、シニア犬になっても元気だったAちゃんですが、2021年2月、突然痙攣を起こして倒れてしまいました。

病院に連れて行くと肝臓がんで余命3カ月と宣告されました。

その病院では、年齢も14歳と高齢なため、緩和治療を勧められましたが、あきらめきれない義妹夫婦は、自分たちで高度医療体制が整っている病院を探しました。

何件かの病院を受診し、抗がん剤治療を試みたり、家でも毎日点滴を行ったりなど、献身的に延命治療をしていました。

しかし、Aちゃんにとっても人間にとっても延命治療は過酷だったのでしょう。

3カ月後には、Aちゃんは感情を失って義妹も精神的に参ってしまい、犬も人間も精神的に不安定な状態となってしまったのです。

我が家も犬を飼っているため、私は義妹から何度か相談をされました。

私は一緒に過ごせる残りの時間を大切にすることを勧め、義妹夫婦も納得のうえ、緩和治療に切り替えました。

緩和治療に切り替えると、Aちゃんの精神状態は落ち着きを取り戻したそうです。

食事の補助や排泄物で若干の介護は必要となりましたが、その他は穏やかに生活し、なんとか頑張って2022年5月に15歳の誕生日を迎えることができました。

ところが6月、とあることで義妹と義弟の夫婦間に亀裂が生じ、義弟は家を出て行ってしまったのです。

すると、Aちゃんにも異変が現れました。

情緒不安定になり、徐々に食欲がなくなり、10日後には食事も水も受け付けなくなりました。

とうとう声をかけても薄目を開ける程度の反応しか示さなくなったのです。

義妹から連絡を受けた義弟が慌てて家に戻り、Aちゃんに声をかけると、Aちゃんは目を見開いたそうです。

そして、義弟を確認すると小さく「ワン」と声を出し、最後の力を振り絞るかのように震える脚でよろよろと立ち上がり、大好きな義弟の膝へ上がろうとしました。

義弟が抱きかかえると、今度は顔を義妹の方に向け、その後何度かゆっくりと義弟と義妹を交互に見始めました。

2人は、Aちゃんが今の2人の関係を心配しているのだと感じ、膝の上に抱きながらソファに並んで座りました。

すると、Aちゃんは安心したかのように目を閉じ、交互に2人の匂いを嗅いで安心したのか、まるで眠るように天国へ旅立って行ったそうです。

「ペットは家族」と思える出来事でした。

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