<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ちーさん
性別:女性
年齢:63
プロフィール:私は会社員63歳、62歳会社員の主人と二人暮らしです。
2022年の5月で92歳になる実母は、重い病気をすることもなく、頭もしっかりしているほうだと思っていました。
90歳を過ぎた頃から膝が痛いと言い出したので、週に一回、私か夫が病院に連れて行っています。
母は私の弟と二人で暮らしていて、我が家の二軒先に住んでいるのですが、弟も仕事があるので、比較的時間の融通がきく私たち夫婦が週に一回病院に付き添っているのです。
すでに亡くなった父は体が弱く、50代でまともに仕事をしなくなったので、母が代わりにずっと家計のために働いてきました。
芯の強い母は、ヒステリックになって騒ぐタイプではなく、自分がやるべきと判断したことはじっくりこなしていくタイプです。
10年ほど前、父が脳梗塞で倒れて目も見えなくなり長期入院をしましたが、そのときも毎日病院に通って面倒を見ていました。
父は2年ほど入院をして、肺炎で亡くなりましたが、母は亡くなった後の親戚の方への連絡などもテキパキとこなし、涙も見せませんでした。
一生懸命に介護をしたから涙も出ないのかな、と私は思ったのですが、母はこう言っていました。
「やれることはやったから。体の弱いお父さんの面倒をよく見たよ」
母らしい一言でした。
そんな母ももう92歳になります。
夫は、私が亡くなった義母の面倒を見てくれたから、と母の生活をサポートしてくれています。
仕事が休みのときは母の買い物や病院に付き添ってくれて、母も「○○さん」と夫を下の名前で呼んで信頼しています。
ですが最近、夫が母を買い物に連れて行ったときのことです。
母は買い物リストを紙に書いて持ってきたのですが、紙を見ながら買い物をしていたのに、どれを買ったのか分からなくなってしまったそうです。
そう言えば、病院に行く日の前の晩に母に電話をして時間を伝えたのに、それもすっかり忘れていました。
もう、そういう歳なのかもな、と切ない気持ちになりました。
先日、母から電話があり「すみません、お宅のご主人さんは私を病院に連れていってくれますか?」と言われました。
え!? お宅のご主人さん!?
「○○さん」といつも言っているのに「お宅のご主人さん」ってどういうこと!?
どうやら、そのときの母は何が何だか分からなくなってしまっていたようです...。
ただ、いつもおかしな発言をするわけではなく「いつもの母」である場合もありますし、昔から作っている料理などは母の味で作ってくれます。
今まで通りのことのほうが多いのですが、ときどきおかしなことが発生する感じです。
最近では病院や買い物に連れて行き、自宅まで送ると、母が決まってすることがあります。
「どうもありがとね。あんたに負担掛けちゃったね」
そんなことを言って、2000円ぐらいお小遣いをくれるのです。
最初は断っていたのですが、気持ちよく「ありがとう」と言って受け取ったほうが嬉しそうな顔をするので、今は遠慮しないようにしています。
そうすることで、母の気持ちがすっきりするのだと思います。
母がいい気分になれるなら、と思いますが、受け取った2000円を見るとやるせない気持ちにもなります。
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