性別:女
年齢:66
プロフィール:66歳、夫と2人で暮らしています。20代のころに子宮がんを患い、子どもを持たない人生を選択しました。
※ 毎日が発見ネットの体験記は、すべて個人の体験に基づいているものです。
◇◇◇
現在私は66歳、夫と2人暮らしをしています。子どもはいません。その理由は今から約40年前に子宮がんを患ったからです。
当時26歳。結婚して数カ月後のできごとでした。市の保険センターで実施される子宮がん検査で病気が判明したのです。自覚症状はなく元気だったので、まさか自分が病気を患っているなんて思いもしませんでした。
予想していなかった事態に頭は真っ白になり、がん=死という恐怖に襲われました。当時20代という若さです。さらに子どもを出産していない状況での厳しい現実を突き付けられ、生きる意欲さえ失ってしまいました。
幸せなはずの新婚生活は一変です。私を選んで結婚をしてくれた夫にも申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。こんなことになるなら結婚しないほうがよかった......と思いました。
私は声をふるわせながら、夫に子宮がんを患っていることを告白しました。子どもは3人欲しいと言っていた夫の夢をかなえることができません。悔しくて涙ばかりあふれてきます。そして夫の幸せを考えると、今すぐ離婚をしたほうがよいとも考えました。
しかし夫は私の手を握り「一緒にがんばろう」と言ってくれたのです。突然のことに動揺していたと思いますが、前向きに私と向きあうことを決めてくれた夫には感謝しかありません。
死の恐怖と闘う日々、夫の存在は私にとって大きいものになりました。
それから私たち夫婦は子どものいない人生をおくることに。
最初のうちは子どものいない人生なんて考えられませんでしたが、月日が経つうちに考え方は変わってきました。
人によって生き方はそれぞれ。子どもが人生のすべてではないのです。
私のように病気で子どもを授かれなかった人、子どもを持たない選択をした人もいます。人の生き方に正解なんてありません。
子どもがいないことで、得られる幸せもありました。
今でも、良好な夫婦関係を築けていること。夫婦だけの時間をたくさん持つことができ、好きなところへ遊びにも行けました。
例えば、40代のころ1週間ものあいだテーマパークに滞在しました。好きなキャラクターホテルに宿泊し夫と非日常的な時間を過ごしました。
あっという間に年月は過ぎ、還暦を過ぎましたが、夫婦の関係性は変わらず仲がいいです。
ふとしたときに「子どもがいたら......」と思うことはあっても、決して不幸せな人生だとは思いません。失うものがあれば得るものもあるからです。
素晴らしい人生だった、と胸張って言えるような日々をこれからも送りたいです。
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