これも認知症介護の「現実」。渡り歩いた施設は3年間で6カ所も...!

家族の介護に直面すると、さまざまな現実を突きつけられます。費用や時間の捻出、施設が見つからないこともそうです。今回は、祖母が認知症と診断されてからさまざまな施設を渡り歩き...という実体験エピソードを紹介します。

<この体験記を書いた人>

ペンネーム:キジトラ
性別:女性
年齢:46
プロフィール:アラサーでオーストラリアへ移住。夫と2人で旅行を楽しむのが趣味の主婦です。

これも認知症介護の「現実」。渡り歩いた施設は3年間で6カ所も...! 8.jpg

2016年に96歳で亡くなった祖母は、91歳で認知症を発症しました。

当時、祖母は1人暮らし。

最初に「様子がおかしい」と知らせてくれたのは、隣家の方でした。

父(当時60代)は祖母と毎日電話で話していたのですが、特に変わった様子は感じられなかったとのこと。

とりあえず、たまたま帰省中だった私(当時30代で既婚)が、様子を見に祖母宅へ行くことになりました。

私が行ったときも、祖母は会話もしっかりしており、特におかしな症状は見られませんでした。

しかし、祖母は私が行くと、いつも交通費としてお小遣いをくれるのですが、そのお金を数える際に異変を感じました。

祖母は1万円札10枚を、何度も何度も数え直しては「10枚ちゃんとあるね」と確認を繰り返したのです。

どこかおかしい、私も隣家の方と同じ印象でした。

そのときは2泊してから、一旦自宅へ戻り、両親に報告。

それから1週間ほど経った頃、今度はお世話になっているデイサービスの方から連絡がありました。

やはり祖母は認知症の疑いが強く、これ以上の独居生活はお勧めしないといった内容でした。

ほどなくして祖母は受診し、認知症と診断されました。

その後は父が毎週末、様子を見に実家へ帰る生活が続き、何とかうまくいっていました。

しかし、祖母の症状は次第に悪化していったのです。

ついに徘徊や人格障害などが見られるようになり、独居生活が困難に。

私たち家族は遠方におり、すぐに同居は難しかったため、やむなく高齢者施設へお願いすることになりました。

しかし、いざ高齢者施設を探し始めると、どこも満室ですぐに受け入れてくれるところはなかなか見つかりませんでした。

空きがあるところでも、祖母に徘徊癖があると知ると、職員が少ないから対応が難しいという理由で断られました。

結局、地域包括支援センターに協力を仰ぎ、まずは特別養護老人ホームへ申し込み、特養に空きができるまでの間だけという条件で交渉してもらい、何とかグループホームへ入ることができました。

しかし、ようやく入所できたグループホームですが、祖母は初日にパニック状態となって大暴れ。

職員の方を罵倒し、随分と困らせたようです。

数日で落ち着いたそうですが、その後もほぼ毎日、1日中施設内を徘徊していたそうです。

そして1年ほど過ぎたある日、徘徊中に転んで尻もちをつき、大腿骨骨折という大怪我を負ってしまいました。

祖母は緊急入院して手術を受けましたが、歩けなくなりました。

グループホームは自立歩行可能が条件だったため、すぐに退所勧告が下されました。

ここから移動の連続が始まりました。

当時、海外にいた私も「大変だからちょっと帰って来て」と両親にお願いされ、一時帰国。

祖母の入院中の世話を任されました。

祖母は最初に運ばれた病院から2週間ほどで転院。

転院した病院で3カ月ほどお世話になり、今度はリハビリ目的の医療機関へと転院。

そこでも3カ月間、お世話になりました。

その間、私は新たな高齢者施設を探しに奔走し、再び地域包括支援センターの方の協力を得て、車椅子でも受け入れてくれるグループホームを見つけました。

ここで決まらなければ最終的には自宅介護となり、私の両親が急遽、祖母宅へ引っ越さないといけない状況だったため、ホッと一安心。

そして1年半ほどが過ぎた頃、ついに特別養護老人ホームから「空きが出た」と連絡がきたのです。

グループホームの職員の方々には、かなり無理を言って対応してもらっていたため、この知らせは朗報となりました。

結局、3年間で計6カ所の高齢者施設や医療機関にお世話になり、ようやく祖母も家族も落ち着くことができました。

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