<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ミートローフ
性別:女
年齢:48
プロフィール:専業主婦。大学生と高校生の息子たちとのんびりとした日々を送っています。
何かと心配性の九州に暮らす義母(80歳)。
関西に住む私たちが帰省して泊まった際、うっかりくしゃみをひとつしただけで「寒かったかしら? ごめんなさいね。毛布を一枚増やすわ」と義母は大騒ぎ。
体の管理にはとても気を遣い、薬を飲むことを非常に嫌います。
そんな義母はコロナが流行り出した2020年の11月ごろ、免疫力が大切ということで、テレビの健康番組をいろいろと見て、自分なりに予防法を考えていました。
とある情報番組でネギが風邪に良いという情報をゲットした義母。
ネギは風邪予防にいい、そしてコロナ予防にもなる、と思ったようです。
すぐさま電話がかかってきました。
「ネギを食べると風邪をひかないらしいから、すぐにネギを買ってきなさい」
また始まったか、と曖昧に返事をし、電話を切った翌日、義母から宅急便が。
いつも美味しいものをたくさん送ってくれる義母なので、息子たちもわくわくしながら箱を開けたところ...八百屋の仕入れか? というくらい箱いっぱいに白ネギが入っていたのです。
しばらくの間、息子も私も無言でそのネギを見つめることしかできません。
その日から毎日の食卓には必ずネギが登場し、息子も主人もネギはもう勘弁、というくらい食べ続けました。
箱いっぱいのネギをなんとか消費したころ、帰省する季節となりました。
いつもご馳走を食べさせてくれる義母の家に行くことを、家族全員がとても楽しみにしています。
今回はどんなご馳走かなと楽しみにしながらの長旅は苦になりません。
そして、ようやく到着して久しぶりの義母との再会。
ところが、家の中から漂って来るのはよ〜く知る香ばしい香り...。
数日前まで我が家に漂っていたなと思っていると、久しぶりのあいさつもそこそこに義母が出してきたのは焼いたネギ...。
「とりあえずこれを食べなさい」
お茶やお菓子より、まずネギが出てきたのです。
居間の石油ストーブの上、いつもやかんが置かれている場所にアルミホイルが敷かれ、その上でネギがぎっしり焼かれています。
「ネギは焼くと甘くなって美味しいのよ。これのおかげで私は全く風邪をひかない。みんなもしっかり食べなさい」
さすがにネギは食べ飽きている私たち家族。
「まじでもういらん」と断っても聞き入れてはくれず、ひたすらネギを勧めます。
誰も食べないと「仕方がないから晩御飯にしましょう」と夕飯の準備をしてくれました。
少しほっとしながらも嫌な予感は止まりません。
用意された晩御飯は焼き鳥。
串に刺されているのは上からネギ、ネギ、鶏、ネギ、ネギ。
これでは焼き鳥ではなく焼きネギです。
さらにネギの味噌汁もついており、もう笑うしかないネギのオンパレード。
翌日からも1日三食はもちろん、おやつや夜食もネギなのです。
しかもなぜか焼きネギが良いと思っているのか、ハムと炒めたり、ただ焼いたり。
さすがに息子が「おばあちゃん、俺ネギアレルギーになりそうやわ」と泣き言を言ったら「ネギアレルギーとコロナとどっちが怖いかよく考えなさい!」と義母からぴしゃりとひと言。
いやどっちも怖いわ! そもそもネギがコロナ予防になるのか...と。
そんなネギ三昧だった2泊3日の帰省も無事に終わり、帰宅してからの夕飯は何が良いか尋ねると「ネギ以外なら何でも」と全員が口をそろえて言いました。
そんな帰省から数カ月、先日の主人の誕生日には義母からの手紙と、またまた八百屋の仕入れ並みのネギが届きました。
まだしばらく続きそうな義母のネギブームです。
ともあれ、我が家は風邪もひかずみんな元気に過ごしています。
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