「売上のために処方箋を増やせ」ってあり得ない! ブラック医院で起きた15年前の騒動

<この体験記を書いた人>

ペンネーム:けんけん
性別:女性
年齢:51
プロフィール:実母(80歳)息子(12歳)の三人で、ちょっと田舎に暮らしています。

「売上のために処方箋を増やせ」ってあり得ない! ブラック医院で起きた15年前の騒動 44.jpg

今から15年ほど前、整形外科の病院でマッサージの仕事をしていた頃の話です。

その病院は、整形外科の補助的な役割と通所リハビリ(デイケア)のサービスの一環で、何人ものマッサージの先生や鍼灸師の先生が在籍していました。

人気の先生に施術してもらうには、医師の診察や器具での治療より先にマッサージの予約を入れないと締め切られてしまうほどでした。

「技術は盗むもの」と聞いたことはありますが、さすがにカーテンで区切って施術するので、人気の先生の技を見ることはできません。

それなりににぎわっていた病院ですが、今思えばひどい環境でした。

通常の診療の時間外に患者さんを迎えて保険適用内でマッサージをしたり、患者さんへ保険適用外のマッサージをするよう営業活動を強いられたりしていました。

保険適用外の施術は、通常のマッサージ店と同じくらいの30分3千円ぐらいだったと思います。

鍼治療・通常マッサージ・アロママッサージなど、その先生の得意な分野で保険適用外の施術をしていました。

また、鍼・マッサージの先生方は正規雇用ではなく時間給で、夕方5時までの勤務のはずが、患者さんの来院が少ないと知らない間に帰ったことにされて、勤務時間を実際より短くされてしまうこともありました。

長年勤めている先生は、タイムカードと自分の手帳にメモをした勤務時間を確認し、合ってない場合は事務所に行って直談判するのが常でした。

ほかにも、理学療法士・作業療法士の先生は、安全な施術のために1日に施術できる規定の人数があるのですが、それ以上に施術を行うよう医院長夫人から強要されていたようです。

それもあって、理学療法士・作業療法士の先生方が頻繁に入れ替わっていました。

そんな中、ある時期リーダーになった妊婦の理学療法士の先生が、激務のため流産してしまいました。

その診断を受けた後にも、院長夫人から施術人数を増やすよう、作業時間を延ばすように言われたそうです。

先生は怒って退職届を叩きつけて辞めました。

鍼灸師やマッサージの先生方は、私見ですが個人主義な方が多い傾向があり、チームワークを重んじるタイプは少ないようです。

ですが、このように激務で苦しめられた中で、一度だけ結束したことがあります。

それは、雇い主である院長からのこんな言葉がきっかけでした。

「調剤薬局の方から、『処方箋の枚数が少なくて経営が悪化しているので、処方箋を増やしてほしい』と要望がありました。鍼・マッサージの方からも湿布を患者さんに勧めるようにしてください」

要するに、売り上げを出すために、本来必要でないものを患者さんに買わせろというのです。

これには先生たちが激怒しました。

「鍼灸師・マッサージは自然治癒力を高めるために施術しているのであって、必要のない湿布を勧めることはできない!」

部門の代表者がそう言い返して、院長は断念せざるをえませんでした。

みなさん誇りをもって仕事をされているのだな、と感動しました。

この病院は今でも通所リハビリセンターを何店舗も経営しています。

問題のある院長でしたが、経営手腕は凄いのかもしれません。

すでに私は関係のない立場ですが、そこで誇りを持って働いている先生方のためにも、昔と違う職場環境になっていればいいなと思うばかりです。

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