<この体験記を書いた人>
ペンネーム:まさかず
性別:男性
年齢:44
プロフィール:母もう若くないんだなと実感する息子。
私の実家は自宅から車で1時間弱のところにあり、母(68歳)と祖母(95歳)が2人で暮らしています。
父が他界してから8年。
いさめ役もいなくなったことで、以前からの祖母と母のケンカ問答が相変わらず続いており、帰省してそれを聞くと「ああ、実家に帰ってきたな」と実感するくらいです。
とはいえ、年齢のせいか以前ほどの勢いはなくなり、2人ともだんだん歳を重ねているのだなとも思います。
実家では、毎年正月に一大イベントがあります。
元日に母の妹にあたる叔母(65歳)が家族全員を引き連れてやってくるのです。
叔母には息子(私にとっての従弟)が2人(41歳、39歳)がいます。
私たちが小さい頃、叔母家族は4人でしたが、いまではその従弟にそれぞれ奥さんと子ども2人がいるため、叔母一家は総勢10名となります。
2022年は祖母の容体がよくなかったこともあり、「正月にみんなで集まれるのも最後」と全員集合することになりました。
実家はそこまで広くないのですが、父が使っていた部屋を片付けて、大人と子どもの部屋を分けることで何とか対応しました。
結果、私の家族も含め総勢18名!
この正月は良い思い出となりました。
しかし、それが刺激になったのか、祖母の容体が回復。
一方、母は多忙すぎて1週間ほど寝込んでしまいました。
そのまま1年が過ぎ、また暮れを迎えました。
2022年の11月、父の命日で帰省したときに、母とこんな話になりました。
「来年以降の正月はどうするの?」
「今年と同じでみんなで集まることになりそう」
「でも、大変だったよね?」
「そうなんだけど、叔母は相変わらず『わたしは元日に実家に帰る。夫と子どもたちが勝手についてくるだけ』と言っているのよ」
以前は、叔父は単身赴任だったり、自分の実家に帰ったりしていましたし、従弟たちは友人と出かけたりすることもありました。
ただ、そんなときでも叔母は毎年実家に来ていました。
昔は参加人数もまばらでしたし、当時は祖母も一緒に準備していたのでよかったのですが、いまは10人で準備は母1人。
昔とは大変さが違いすぎます。
「10人が来るのをお母さん1人で準備するのは変じゃない? 叔母家族は10人もいるんだから、あっちはあっちでやれば良いいんじゃないの?」
「まあまあ、今年は何とか頑張れそうだから」
母と叔母の関係もあるのかと、私はそれ以上、口を出すのはやめました。
とはいっても、ほおっておくわけにもいきません。
私は妻に話し、仕事納めの翌日に帰省。
おせちを作ったり、餅を切ったり、叔母一家の来訪準備を手伝うことにしました。
私と妻、長女で手伝い、18名分の料理を用意して迎えた当日。
従弟の息子1人が発熱したので、従弟の奥さんと熱が出なかったほうの息子がドタキャン。
急いで注文していたお寿司を変更するなど、大忙しでした。
このときも叔母は私に「ここはあなたの実家だけど、わたしの実家でもあるのよ」と言いました。
愛想笑いで合わせておきましたが、母の苦労を知っているのか? と疑問を持ちました。
叔母家族を送り出したあと、母に「大変だったね。これを来年も続けるの?」と聞いてみました。
「うーん。でも叔母は『ここが私の実家』と言っているしね。おばあちゃんがいるうちは仕方がないかな。その後はあなた(私)と一緒に温泉で正月を迎えたいね」
そう言う母でしたが、以前より高血圧の薬を飲んでいる様子を見ると、震える右手を左手で抑えていました。
母が元気なうちに私たち家族と温泉に行けるといいのですが...。
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