自立した子どもの「近くに住みたい」と願うのは独りよがり? 老後の夢が音を立てて崩れていく/chii

夫による激しいDV、モラハラに耐えかねて家を飛び出して約10年。

夫が元わが家で孤独死してから、来月で1年になります。

【前回】元DV夫が亡くなり家を解体することに。思い出と共に全てが更地になって...

自立した子どもの「近くに住みたい」と願うのは独りよがり? 老後の夢が音を立てて崩れていく/chii pixta_43627945_S.jpg

買い物中に見知らぬ番号から着信があったので無視していたら、息子から着信がありました。

めずらしい、なんの用だろうと思って電話に出ると、お父さんが亡くなっていたと警察から電話があったと。

その時点で、足がすくんで震えが止まらなくなったのを覚えています。

警察は私が電話に出なかったので、息子に連絡したのだと思います。

「すぐに警察に電話して」と言う息子。

とりあえずバスに乗って自宅に帰りました。

見知らぬ番号は刑事さんからだったようで、自宅からかけると「警察に来てください」と言われました。

震えが止まらなかった私は、「無理無理絶対一人で行けない」と思って息子に頼むと、まだ授業中だから行けないと冷たい返事。

娘にも連絡したけれど、同じく仕事中で無理だと言う返事でした。

足がすくんで動けなくなった私は、同年代の友人に連絡し、警察に連れていってもらうことにしました。

車で迎えにきてくれ、隣にいてくれ、どれだけ心強かったことか。

今でも彼女には感謝しています。

結果的に、私は夫とは対面しませんでした。

生前からボロボロの風貌になっていた夫。

死後5日経過ほど経過していたので、多少の腐敗もあったという。

見たら、倒れるかも?いや、一生その顔を忘れることはできなかったと思います。

あの日から一年近くたち、元わが家の売却も終わり、解体も済んで更地になっています。

すべてが終わったのです。

夫の後始末が終わったら、故郷東京へ帰ろうと決めていて、それを目標に生きてきました。

すぐに、住んでみたかったUR賃貸住宅の内覧に、2カ所行きました。

私が住めるであろう安めの家賃の団地は、駅からバスで20分ほど、東京の郊外でした。

夏に内覧したので、セミが大合唱し、部屋に入るとムッとした空気。

暑くてゆっくり見ることもできませんでした。

まず、エアコンをつけて、ガス台も買わないと、と頭の隅で考えつつ、内覧してもワクワクしない自分がいました。

とっさに思ったのは、東京の郊外では、子どもたちも身内も友達も誰も訪ねてこないだろうということ。

私の目的は、子どもたちに実家を作ってあげることだったのです。

いつでも帰ることのできる家を作ってあげたかった。

郊外では遠すぎて帰ってこないかもと考え、都内でマンションやアパートを探してみたのですが、2DKなんてとんでもない、ワンルームさえ10万近いところばかり。

そこで、現実を知った感じです。

でも、子どもたちの近くに住みたい。

近くに住めば、孫の面倒も見れるし、娘を助けることもできるだろうという思いは、なかなか捨てることができずにいました。

娘、息子に打診してみると、娘からは「ずっと住み慣れた場所がいいんじゃない」という返事。

息子からは「今でも会える距離なんだから、越してくる必要ないんじゃない」という返事。

子どもたちのこの返事で、私が近くに住むことを望んでいないと知ってしまった私です。

子どもたちに実家を作ってあげたい、子どもたちの近くに住みたいと言う老後の夢が、ガタガタと音をたてて崩れました。

裏を返せば、子どもたちは、親の私なんか必要ないと感じるくらい自立したということ。

喜ばしいことだと思いつつ、心の片隅にはすき間風がふきっぱなしです。

子どもたちが望んでいるのは、私がこれからの人生を楽しみ、いつまでも健康で、迷惑をかけずに生きることなのかと思います。

で、故郷東京に帰ることは断念。

海が近いトカイナカの地元に残ることを決めました。

これからはソロ活を楽しもうと思っています。

健康法や医療制度、介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず事前に公的機関による最新の情報をご確認ください。
記事に使用している画像はイメージです。
 

chii

モラハラDV夫の家を飛び出し、10年目のchiiと申します。離婚には応じてもらえずに、現在も熟年別居中です。つい最近、共に暮らしていた大学生の息子が自立をして一人暮らしになりました。某スーパーでサービスカウンターの仕事をしています。パートなので生活は楽ではありませんが、結婚生活が地獄だったからこそ、現在の一人の時間に幸せを感じています。別居直後から書き出した「60代小さく暮らす」お一人様の老後がテーマの「お茶のいっぷく」を書いています。

※毎日が発見ネットの体験記は、すべて個人の体験に基づいているものです。

この記事に関連する「みなさんの体験記」のキーワード

PAGE TOP