みんなのケア

脳卒中や心筋梗塞、介護のリスクも低下...! 温泉療法専門医が教える「入浴」の効果

お風呂の湯船につかる頻度の高い人の方が脳卒中や心筋梗塞、新たに要介護になるといったリスクが低いということが分かっており、高血圧や糖尿病などの予防や改善にも役立ちます。今回は、東京都市大学 人間科学部 学部長で教授の早坂信哉(はやさか・しんや)先生に「毎日の入浴習慣の健康効果」について教えてもらいました。

※この記事は定期誌『毎日が発見』2022年12月号に掲載の情報です。

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体温&血流をアップ
入浴で病気知らずに

「お風呂に入ることで体が温まると、全身の血流が良くなり、代謝も上がります。その毎日の積み重ねが、怖い病気の予防にもつながります」と、早坂信哉先生。

調査では、湯船につかる頻度の高い人の方が脳卒中や心筋梗塞、新たに要介護になるといったリスクが低いことが分かっています。

ちなみに、シャワーだけでは体がしっかり温まらず、十分な効果を期待できません。

高血圧や糖尿病などの予防や改善にも入浴が役立ちます。

早坂先生直伝の入浴法で、不調を防ぎましょう。

心臓病や脳卒中のリスク2~4割減

毎日お風呂に入ると、心臓病や脳卒中などの発症リスクが低下することが分かっています。

下記は、20年間の追跡調査を行った研究の結果。

「ほとんど毎日」湯船につかっている人は、「週2回以下」しかつかっていない人に比べて「心筋梗塞や心臓突然死など虚血性心疾患を起こすリスクが35%低い」「脳卒中を発症するリスクが26%低い」という傾向が。

脳卒中の中でも、脳出血は46%も低かったことが分かっています。

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※出典:Heart 2020:732-7. 国立がん研究センター 社会と健康研究センター 予防研究グループ、2020年。がんや心臓病、脳卒中などになったことのない40〜59歳の男女約3万人を対象、20年間の追跡調査による結果。

介護リスク3割減

毎日の入浴習慣が、介護が必要になるリスクを減らすことも分かっています。

下記は、全国18市町村に住む要介護認定を受けていない65歳以上の1万3786人を対象に行った3年間の追跡調査の結果です。

夏も冬も、「毎日湯船につかっている人」は「週0~2回しか湯船につかっていない人」に比べて、要介護認定を受けるリスクが3割減るという結果に。

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※出典:J Epidemiol 2019:451-6. 「お風呂の習慣(浴槽入浴)で要介護認定が3割減~高齢者約1万4千人 3年間の追跡調査」(千葉大学と早坂信哉先生の研究)

免疫力も高まる

入浴習慣自体が、長期的な免疫力にどう関係するかを調べた研究はまだありませんが、湯船につかることで体温が上がり、血流が良くなると、免疫細胞は活性化します。

また、入浴によるリラックス効果も免疫力向上に◎。

40度までの湯に肩までつかり、目を閉じて、鼻から3秒息を吸い、口をすぼませて5秒かけて息を吐きだします。副交感神経の働きが高まり、免疫力向上も期待できます。

参考/『おうち時間を快適に過ごす 入浴は究極の疲労回復術』(山と溪谷社)

構成・取材・文/寳田真由美(オフィス・エム) イラスト/moeko

<教えてくれた人>

東京都市大学 人間科学部 学部長・教授
早坂信哉(はやさか・しんや)先生

温泉療法専門医、博士(医学)。自治医科大学医学部卒業、同大学院修了。入浴や温泉に関する医学的研究の第一人者で3万人以上の入浴を調査。著書に『おうち時間を快適に過ごす 入浴は究極の疲労回復術』(山と溪谷社)など。

この記事は『毎日が発見』2022年12月号に掲載の情報です。
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