みんなのケア

夏バテ予防のため、「暑さに強い体」になる習慣を! 千葉大学医学部附属病院の並木先生がレクチャー

今年も暑くなってきましたが、その中で気を付けたい「夏バテ」。こまめな水分補給が大切なのはもちろんですが、冷たい飲み物の取りすぎは胃を弱らせてしまうこともあるのだとか。今回は、千葉大学医学部附属病院 和漢診療科長・診療教授の並木隆雄(なみき・たかお)先生に「 夏バテを予防するためにやっておきたいこと」を教えてもらいました。

※この記事は月間誌『毎日が発見』2022年7月号に掲載の情報の再配信です。

運動と入浴などで暑さに強い体づくりを

「本格的に夏になる前から、冷たい飲料はなるべく避け、少しずつ暑さに強い体になる習慣を心がけることが大切です」と並木先生は話します。

暑さに強い体づくりのポイントの一つは、飲み物を常温もしくはホットにすることです。

また、自律神経の乱れを正すために運動習慣も欠かせません。

運動不足では、体温調節もうまくいかなくなります。

この状態で冷たいものを飲むと夏バテを後押しすることになるのです。

「運動をしましょうと言うと『無理です』とおっしゃる患者さんがいます。でも、ハードな運動は必要ありません。朝のラジオ体操、室内での足踏み・もも上げなど、ちょっとした体操を意識するだけで、自律神経に良い影響を与えて夏バテ予防に役立ちます」と並木先生はアドバイスします。

もう一つ、ぬるめのお湯(38度前後)にゆっくり浸かる入浴も、自律神経を整えるために良いそうです。

千葉大学大学院の共同研究では、週7回以上入浴する高齢者は、週0~2回と比較して、約3割、要介護認定のリスクが減少したことも分かりました。

夏バテ防止だけでなく、健康長寿にも入浴習慣は役立つ可能性があるのです。

ただし、持病がある人は、主治医に方法を確認した上で入浴しましょう。

「気が上半身に集まるとイライラして眠れないこともあります。日中を活動的に過ごし、ぬるめのお湯でリラックスして夜ぐっすり眠ることも大切です」と並木先生。

イラッとしたらレモン酸っぱい食材が役立つ

自律神経が乱れやすい更年期も、睡眠の妨げになることがあります。

冷たい飲み物によって"気"が上半身に集まると、イライラを後押しするのです。

この状態で睡眠障害になってしまうと、うつ病の引き金にもなるので注意が必要です。

眠れない状態が続くようならば、早めに医療機関を受診しましょう。

「漢方的な考えでは、イライラしたときにレモンのような酸っぱいものを食べると落ち着きます。レモンには、疲労回復に役立つクエン酸が含まれるので、夏バテ防止にもつながります。イライラしたら、レモンティーなどを飲むと良いでしょう」と並木先生はアドバイスします。

また、料理に旬の食材を取り入れることもおすすめです。

食べごろを迎えるゴーヤやキュウリ、スイカなどは、体内で不足しがちな水分を補い、利尿作用を持つカリウムを含んでいるため、尿と一緒に体内にたまった熱も排出してくれるそうです。

「肌に潤いがあると脱水を起こしにくいので、コラーゲンを含む鶏の手羽先や魚の煮こごりなども食べましょう。食事や生活習慣を見直しても夏バテになったら、漢方薬の『清暑益気湯』が役立ちます。専門医に相談しましょう」と並木先生。

上手に夏バテを退けて、快適に過ごしましょう!

<教えてくれた人>

千葉大学医学部附属病院 和漢診療科長・診療教授
並木隆雄(なみき・たかお)先生
1985年千葉大学医学部卒。帝京大学附属市原病院心臓血管センター講師、千葉県立東金病院内科部長などを経て2011年より現職。日本東洋医学会認定漢方専門医・指導医。

この記事は『毎日が発見』2022年7月号に掲載の情報です。
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