「お姉ちゃん、あのさ…」突然の報告にボロボロ泣いた。病気の母を支えてきた40歳の妹の結婚
離れて暮らす親の病気。そばで支えてくれるきょうだいに、申し訳なさを感じている人もいるのではないでしょうか。今回は、病気の母を長年支えてくれた妹がいる44歳女性のエピソードです。「結婚に興味はない」と言い続けていた40歳の妹。この夏、実家に帰ったときのことです。
40歳になった妹からの報告
先日、40歳になった妹から、来年結婚しようと思っていると報告を受けました。
母の三回忌を前に、私としてはとても、とても嬉しい報告でした。天国の母もきっと安心し、喜んでくれていると思います。
婚約破棄のあと、結婚の話をしなくなった妹
私の妹は、20代後半に一度、婚約破棄になったことがあります。相手の男性に問題があったのですが、それ以来、人間不信というか、誰かとお付き合いしているという話を妹から聞くことはありませんでした。
その後も、妹の口から結婚の「け」の字も出ることはなく、私は結婚して子どもを産み、そして母の病気が発覚しました。
妹は両親と同居していたので、母にずっと寄り添ってくれていました。子どもが小さく、すぐに実家へ帰れる距離でもなかった私は、「診察の日」「治療の日」「手術の日」……すべて父と妹に任せ、力になれないことを申し訳なく思っていました。
妹は「若いときに父と母を心配させたから、その恩返しという意味でも自分が支える」と言っていました。それでも、年を重ねる両親にいらだつこともあり、私には「そばにいない、一緒に住んでいないお姉ちゃんには、私の気持ちなんてわからない」と何度もあたってきて、妹との距離は広がるばかりでした。
母からは「自分のことできっと無理をさせているから、親のことを気にせず自分の人生を楽しめばいいと(妹に)言ってあげて」と言われましたが、私から伝えても妹には届きません。感情的になって、いらだつ気持ちやどうしようもない気持ちをぶつけてくる妹を、ひたすら黙って受け止めることしかできませんでした。
それからしばらくして、母を見送りました。そのころから、妹との関係も少しずつ変わっていきました。いろいろ話をするようになり、妹も穏やかになったように感じました。
それでも妹は「一生ひとりでいる、結婚に興味はない」と言っていました。そんな妹のことを父は気にしていて、一緒に未来を考える人を見つけてほしいと思っていたようです。
この夏、実家のキッチンで
ところがこの夏、実家に帰ってキッチンに立っていると、突然、妹がこう言ってきました。
「お姉ちゃん、あのさ、私、来年結婚することにした」
さらっと言われてびっくりしたのと、嬉しいのとで……私はボロボロ泣いてしまいました。
「母の三回忌が終わってから伝えたいから、父にはまだ言わないで」とのことでしたが、父もきっと喜ぶと思います。
そして、妹はこう続けました。
「昔、おじいちゃん(母の父)が亡くなったとき、お母さんが棺の前で泣き崩れる姿を見て、『お母さんこの後どうなってしまうん……』と心配やったけど、家に帰ったら普通に家のことをこなしてた。それが不思議で、お母さんに聞いてん。
『あんな泣いていたのに、なんでお母さんは普通に生活できるの? 私やったら、ずっとふさぎ込んでしまう』って。そしたらお母さんが『家族がいるから』って言ってん。あの言葉忘れられんくてな、ずっと残ってて。
お母さんが亡くなったとき、お姉ちゃんが普通に家事をこなしてる姿を見て、お母さんと一緒やな……って。お姉ちゃんと家族が帰るのを後ろから見送ったときに、初めて『家族がいるって、いいな』って。
それでも、結婚ってぴんとこなかったけど、結婚したいなって思う人が現れてん」
「家族がいるから」と言った母の一言が、妹の心の中にずっと残っていたのです。今はもう母はいないけど、母の言葉が生きていて、妹の背中を押してくれたのでした。
私は嬉しくて嬉しくてたまりませんでした。
その夜、仏壇の前で母に話しかけました。
「お母さん、嬉しいな。ありがとう」
妹に幸せになってほしい。家族全員の願いが叶った瞬間でした。

