私と夫はひとりっ子の同い年で、35歳で結婚しました。なかなか子どもに恵まれず、不妊治療の末、44歳でようやく授かったのが娘です。両家の父母も初孫に大喜びでした。今日は、そんな娘をめぐる義母との話を聞いてください。

「孫の面倒はみてあげる」ありがたかったはずの申し出


私は結婚前から保育士で、出産後も働くつもりでした。というより、高額な不妊治療で貯金はほとんどなく、夫は数年前に自営業を始めたばかり。正直、家計は火の車で、私が働かないと親子3人飢え死にするかも?というくらいでした。

そんなとき義父母が「孫の面倒は私たちがみてあげるから、気兼ねなく働いていいよ」と言ってくれたのです。私たちは義実家の近所にアパートを借りました。文字通り、スープの冷めない距離です。義父母は毎日のように孫をあやしに来て、義母の手料理も届けてくれました。そのころは本当に感謝していました。

娘が6カ月で保育園に入り、私も仕事に復帰。忙しい夫の代わりに送り迎えをしてくれたのも義父母でした。でも、だんだん「ちょっと勝手じゃない?」と思うことが増えていったのです。

迎えに行くと、娘の髪がきれいさっぱり


娘は生まれつき髪が薄く、頭のてっぺんはなかなか伸びませんでした。そのくせ前髪と耳の横だけはそこそこ伸びていたので、そこを女の子らしく結ぶのが、私のひそかな楽しみでした。

1歳になる少し前、義母が突然「〇ちゃんの髪、一度すっきり全部切ったら、伸びるのが早くなるんじゃないかしら?」と言い出しました。私は「切る」とは一言も言っていません。ところがある日、仕事帰りに義実家へ娘を迎えに行くと、髪がきれいさっぱり刈られていました。男の子がよくする、スポーツ刈りです。

「私の友だちに美容師さんがいてね。たまたま遊びに来てくれたから、ちょうど良いと思って、切ってもらったわよ」。涼しい顔の義母に、言い返す言葉も出ませんでした。それからしばらく、娘はどこへ行っても男の子に間違えられました。

義母はもともと、人の話を聞かない人です。保育園の先生からの連絡もまともに聞かず、翌日の持ち物を何度も持たせ忘れました。夫に送迎を頼みたいと言っても、「息子は忙しいんだから、私たちが行くのが当然でしょう」。ママ友からは「おばあちゃん、お母さん気取りで来てるわよ」と耳打ちされる始末でした。

あの日の「思いつき」が、今になって


そんな娘も小学3年生になり、送り迎えをお願いすることもなくなりました。

ある休みの日、家族でアルバムを整理していたときのことです。1歳ごろの写真を見つけた娘が「これ、だれ? 男の子?」と聞いてきました。スポーツ刈りの娘の写真です。夫が笑いながら「それ、〇ちゃんだよ。おばあちゃんが勝手に切っちゃったんだ」と話すと、娘はしばらく写真を見つめて、ぽつりと言いました。「えー、ひどい。勝手に切るなんて」。

それからです。義実家に行っても、娘は義母の隣に座らなくなりました。「髪、ずいぶん伸びたわね。少しそろえてあげようか」と義母が手を伸ばすと、さっと私の後ろに隠れます。

先日、義母から電話がありました。「〇ちゃん、最近なんだか冷たいのよ。私、何かしたかしら」。声がすっかりしょげています。何かしたも何も……と思いましたが、「さあ、どうでしょうねぇ」とだけ答えておきました。

「スープの冷めない距離」というのも良し悪し......。

今も近所に住んでいますが、私自身は義父母との交流はなるべく避けるようにしている今日この頃です。