『忠臣蔵』に基づき、吉良上野介(こうずけのすけ)に身代わりがいたという斬新な視点で描く映画『身代わり忠臣蔵』。主演のムロツヨシさんは異なる世界を生きる兄弟の姿を見事に演じ分けています。

※この記事は月刊誌『毎日が発見』2024年2月号に掲載の情報です。

「40代に区切りをつけるとしたら、やらなきゃいけないのは」ムロツヨシさんインタビュー(2)

40代に区切りをつけるとしたら、やらなきゃいけないのは舞台でしょうね。

――かの有名な『忠臣蔵』をベースに、「吉良上野介(こうずけのすけ)に身代わりがいた!?」という奇想天外なアイデアを加えて描く映画『身代わり忠臣蔵』。浅野内匠頭(たくみのかみ)を切腹に追い詰めた嫌われ者の吉良上野介と生臭坊主に身をやつした吉良家の末弟・孝証(たかあき)。顔はそっくりでも正反対の性格の兄弟を演じ分けるムロツヨシさんですが、意外にも映画での二役は初めて。

家督を継ぐ長男とそうでない者の生きる世界が全く違いますから、演じ分けるのも難しいかなと思っていました。

でも長く活動してきた小劇場では予算や劇団員数の関係で、一人何役もやっていましたから。

もちろん演じ分けなんてかっこいいものじゃなかったですけど(笑)。

――浅野内匠頭に斬られた上野介が、武士の恥となる逃げ傷を負って死んだことから危機勃発。お家断絶を免れるために、弟・孝証が上野介になりすまします。

孝証は自由人で、世間知らずでダダッ子。

お金は欲しいけれど自分ではなんの努力もしていない。

身代わりになるのもお金欲しさですから。

でもそんなダメ人間が初めて"あなたが必要だ"と言われて、人のために何かをすることがどれだけ生きがいになるかを知る。

吉良家の人々から"ありがとうございます"と言われるたびに人間の温かみを感じ、彼らのために吉良家を守っていきたいと思うようになる。

そういうきっかけって、大なり小なり僕たちにもありますよね。

――ご自身の経験は?

19歳のときに役者になりたい、自分にはできると勘違いをして始めたんですけど、それからずっと人前でセリフをしゃべってもぜんぜん楽しくなくて。

そのまま5〜6年たって25歳のときに、開き直って好き勝手にやったら、初めてお客さんが沸いて、笑ってくれた。

それが初めてやりがいを感じた瞬間。

"このためにやっている!"と、意識が変わったことはあります。

"必要とされた"とはちょっと違いますけどね。