■作者:理系女ちゃんインタビュー

──前半だけ読むと理想的な夫・父親に見えました。まさか妻があんな風に感じているなんて...。彼のキャラクター設定を考えるうえで、特に気にした点を教えてください。

理系女ちゃん:一見すると理想的な父親に見えるようにしたことです。実情を知らない他人や本人からすると子ども思いのいい父親に見えるように物語の前半では描いています。しかしその内側には、「自分はできているぞ」と思いたい気持ちや、他人からの評価に慢心している部分もあります。SNS等で人生を「物語化」することが多くなった時代、子育てする自分や子どもを人に知ってもらいたいという気持ちは珍しくないものだと思います。

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子育ては本来、親が脇役になる作業です。それにも関わらず「子育てをする自分」に少し酔ってしまう人、として彼を描きました。後半では彼には見えていなかった部分を妻の視点から描くことで、読者がもしかしたら自分も同じようなことをしていないかと考えられるようなキャラクターとして描きました。

──本作はsideAとsideBの二部構成になっていますが、一見するとsideBのほうが「正しい」と感じてしまいがちです。実際、どちらかが正しいという意識で描かれたのでしょうか。


どちらかを正しいとして描いたつもりはありません。夫が自身の子育てスタイルに対して自己満足的であることも問題ですが、妻も問題を直接扱わず、最終的には間接的な形を取ってしまっている点で非がないとは言えません。


あくまでも本作はどちらが正しいか、ではなくどうすれば問題は解消できるのか、また自身の対人関係を振り返るきっかけとして読んでいただければと思っています。

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「自分の頑張りは、本当に目の前の相手を笑顔にできているだろうか?」
一度立ち止まって、独りよがりな正義になっていないか客観的に見つめ直すことが、本当の支え合いへの第一歩かもしれません。

取材・文=MK