新幹線駅の片側だけ発展している理由は? 「街の歴史」と「お金の都合」から分かる共通点
【本作を第1回から読む】あなたは説明できますか? セブンカフェのアイスコーヒーがホットより高い合理的な理由
『なぜコンビニでお金をおろさない人はお金持ちになれないのか?』 (平野薫/ダイヤモンド社)第3回【全5回】
コンビニでお金をおろさない人はお金持ちになれない? 一見無関係な事柄同士でも、紐解くとお金の流れで繋がっていることがあります。本書『なぜコンビニでお金をおろさない人はお金持ちになれないのか?』 は、日常の「ふとした疑問」をロジカルに解説した「お金の流れが見える本」。本連載では、コンビニコーヒーの値段から古びた店がつぶれない理由まで、5つの事例を紹介します。
※本記事は平野薫著の書籍『なぜコンビニでお金をおろさない人はお金持ちになれないのか?』(ダイヤモンド社)から一部抜粋・編集しました。
なぜ新幹線の駅は片側だけ発展しているのか?
新幹線の駅は片側は賑わっているが、もう一方の側は寂しい
皆さんは街の散策はお好きでしょうか? あまり外を出歩かないという方や目的の無い行動はしない主義という方もいるかもしれませんが、ビジネスの数字に強くなるためには世の中を見て関心を持ったことを数字に落とし込んで考えることが大切です。当たり前ですが経済は社内や会議室の中で動いているわけではなく、社会全体で動いています。自分で世の中を見て肌で感じることが世の中の経済を知り数字に強くなるための一歩です。
私は出張先で早朝にウォーキングをするように心掛けています。朝の1時間だけでも意識して歩くと、史跡や寺社仏閣、市場、夜明けの繁華街などからいろんなことを学べます。以前、駅の周辺、特に地方の新幹線の駅の周辺を散策すると、あることに気づきました。それは"駅の片側は発展しているが、もう一方の側は寂しいことが多い"ということです。
東北新幹線の沿線の駅を見るとその傾向が特に顕著です。宇都宮駅は東口にLRTの駅が新設され小洒落た場所になっていますが、かつては怪しげな飲み屋街が多いイメージで、西口周辺と比べてパッとしていませんでした。仙台駅も西口が賑わっており、最近でこそ東口の開発が進みましたが、私が小さい頃は予備校くらいしかありませんでした。郡山駅は現在でも店舗は西口に集中しています。逆に盛岡駅は東口が賑わっていますが、西口は駐車場のイメージしかありません。
駅は市街地の中心には作らない
"なぜ新幹線の駅は片側だけ発展しているのか?"もちろん都市計画で開発の順番が決まっているということもありますが、理由はそもそも駅を作った当初から片側は多少発展していたからです。当たり前ですが、鉄道や新幹線を街の中心に通すと用地買収コストが莫大になりますし地権者の人数も増えるため、手間も時間も掛かります。2010年に新幹線が開通した新青森駅は周辺には病院とホテルが1軒ずつでき、多少住宅も増えてきましたが、それ以外はレンタカー会社しかありません。元々周辺には何もないところでした。
ちなみにかつて東京の中心は五街道(東海道、中山道、日光街道、
明治維新後に諸藩の江戸詰めがなくなりその跡地が陸軍の施設とし
駅前発展のライフサイクル
元々の市街地の端に駅を作り、市街地側が発展していくのが一般的なようです。多くの場合、市役所や城、有名な神社があるエリアがかつての街の中心なので、発展している側にそのような施設が集中しています。その後、元々の市街地側で開発の余地が無くなってくると反対側も開発されるようになります。歴史が古い駅などはそのような変遷を経て全体的に発展していますが、開発された時期の違いから旧市街と新市街のような色合いが出ます。
都心で新しい線を通すとなると莫大な費用が発生します。東京メトロが副都心線池袋―渋谷間8.9kmを建設する際に購入した1㎡当たりの用地購入費は203万円でした。地下鉄を通す際は地上の地権者との用地交渉や補償の問題が発生するため、基本的には国や地方自治体が所有する道路の下に作りますが、それでも地下鉄の駅の出入り口などある程度の用地買収は必要になります。東京駅と有明・東京ビッグサイト駅間で建設が予定されている都心部・臨海地域地下鉄、通称・臨海地下鉄新線では約6.1kmの路線を作るのに、建設費は約4200億~約5100億円。1km当たりの建設費は689億~836億円に達します。
このように鉄道を通すというのは本当にお金が掛かります。そのために市街地の端に駅を作り、元々の市街地側が発展したわけです。
イラスト/春仲萌絵
平野薫
1978年宮城県大崎市生まれ。宇都宮大学農学部卒業後、キユーピー、帝国データバンクを経て、現在、小宮コンサルタンツでコンサルタントチームリーダー、エグゼクティブコンサルタントを務める。
帝国データバンク調査員時代を含めこれまで2000社の財務分析、1000人以上のビジネスパーソンに会計セミナーを実施。苦手意識を持つ人が多い「会計」を、豊富な事例と分かりやすい言葉で教えてくれると評判を博している。国内外107の経済指標を5年以上毎月更新。経済指標と実体経済を照らしあわせて説明する経済解説に定評がある。現在も16社の企業の経営会議に参加して業績数字のチェックも行っている。数字の羅列の中から変数を見出し、会社の問題点や予期せぬ成功を発見し、経営のアドバイスを実施している。

