お寺は、仏教を聞きたい人のために存在している
――僧侶がすべきことは「お寺を何とかするために仏教を伝える」ではなく、「仏教を聞きたい人に仏教を伝える」ことだと気づく住職。観光ではなく、教えを聞きに行くというとハードルが高いと感じますが、そうした目的で行ってもいいのですか?
近藤丸さん(以下、近藤丸) お寺の本来の意味としては、仏教のお話を聞いたり、修行をする道場という意味合いがあります。ですから、『仏教の話を聞いてみたい』と思ったときに訪ねて行かれることに、何の問題もありません。
ただ、本山のような大きなお寺でない限り、いつでも対応できる僧侶がいるとは限りません。また、住居を併設している場合が多く、お寺は寺院関係者の生活の場にもなっています。僧侶やお寺に関わる人たちにも生活があるので、現実的にはいつでも対応というのは難しいのです。
また、現代では多くの寺院が専業で運営することが難しく、住職や関係者も仕事で留守にしている場合も多いです。そういう意味では、いつでも気軽に行っていい場所であるというのは一つのタテマエにはなっています。
これらのことから、仏教の話を聞きたい、教えてほしいことがあるなどの場合は、ぜひ事前に「お参りしていいか」と連絡をしてから訪れることをおすすめします。
――お寺は住職さんたちの生活の場でもありますものね。しかし、仏教に興味があっても、住職と1対1で話を聞くのは緊張してしまいそうです。
近藤丸 それなら、多くのお寺で法話会やイベントが定期的に開催されていますので、まずはこうした場に訪れてみるのがいいと思います。そしてそこから、住職と仲良くなってみてはいかがでしょう。あと、仏教の伝統宗派本山では、お寺が開いている時間なら職員にいろいろと質問することもできます。本山のイベントや法話会から行ってみるのは、かなりおすすめですね。