「ただの主婦の生活は、今日でおしまいだ」やっと見つけた600万かかる夢/ただの主婦が東大目指してみた

『ただの主婦が東大目指してみた』(ただっち/フォレスト出版)第9回【全15回】

「家事をがんばらなきゃ」と思えば思うほど、まともにできない怠惰な自分を憎んで爪の皮をめくってしまう――。夫を朝送り出した後、15時まで二度寝してしまうズボラ主婦には、実はそんな悩みがあって...。それを解消すべく、掲げた夢は東大受験!? 『ただの主婦が東大目指してみた』(フォレスト出版)は、著者・ただっちが、自らの挑戦を漫画とテキストとともに描いた完全ノンフィクション。普通の主婦が東大生になるために奮闘する姿を描いた、笑いと涙の東大受験奮闘記をお届けします。

※本記事はただっち 著の書籍『ただの主婦が東大目指してみた』(フォレスト出版)から一部抜粋・編集しました。

かっこいいから東大、という理由   5月某日

まだ夫の許可はないけれど、家事をがんばらないとして、その時間で何をしよう?

もう夢いっぱいの10代でもないし、行き当たりばったりでは、到底良い結果は得られない気がする。それに新しいことをはじめて新しい自分になりたいけども、ちゃんと死守したいこともある。

それは、できるだけ夫と長い時間を過ごして、子どもを産んで、お母さんをやること。そんな当たり前で、素朴な夢を捨ててまで追いかけたい夢なんてない。それは大前提だ。その前提を踏まえて、私はどうしたらいいのかな?

今まで生きてきた感じでなんとなくわかるけど、ちょっとした「うっかり」が大迷惑につながる仕事は絶対ダメだ。医療関係はもちろん、書類やデータを扱う仕事もダメそうだ。あまりにも不注意が多すぎるからチームワークを要する仕事は、自分がつらい思いをするだけじゃなく、他人にも超絶大迷惑だ。

 

そうなるとやっぱり、今のようにフリーランスとして、1人で黙々と絵や漫画、文章を描く仕事が向いてると思うし、何時間作業したって苦にならない。なんとなく流れでやってた仕事だけど、私には「天職」なのかもしれない。

でも、正直絵の才能があるわけでもなく、特別センスがあるわけでもなく、専門的な知識もない。今イラストや漫画の仕事があるのは、どう考えても運が良かっただけなんだ。だから、この強運の流れが終わってしまったら、仕事がなくなってしまうだろう。

 

「平凡」な私が、ものをつくる仕事をしながら生きていくためには、どうしたらいいのかな?美大や専門学校に行って、絵の技術を高めるといいかな?

......いや、絵が上手なんて山ほどいるんだよ。理論を学んだからって、単純に"絵〟で勝負できるほどの能力は私には、ない。

クリエイティブな世界で生きていきたければ、とがって、とがって、唯一無二の存在になるのが手っ取り早い。自分にしかない属性を重ねて、重ねて、オンリーワンになればいい。その人にしか生み出せない、特別な何かをつくれる人間になれば、頭一つ抜けられるんだ。

きっとそう。そんな〝とんがり〟を得るには、何をすればいいのだろう?

 

あっ、そうだ。東大......。

 

たとえば、東大とかに進学して、学問の道を究めてやれば、すっごいとがってくるんじゃない?ゆるい感じの絵や漫画、文章が書けて、しかも東大卒の、なんかの学問の博士。

うわぁ、かっこいいじゃない。

なんかよくわからないけど、博士だったら、誰かの何かの役に立つものが生み出せそうだし。

我ながらナイスアイデア!

 
※本記事はただっち 著の書籍『ただの主婦が東大目指してみた』(フォレスト出版)から一部抜粋・編集しました。
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