すべてバレていた 5月某日
実家で親からコテンパンに批判され......ものすごく疲れながら、夫の待つ家へと帰ることにした。ゆっくりして帰るつもりだったけど、あまりにも居心地が悪いから、朝帰り。私が実家に帰ってわかったことは、ただ1つ。
「夫くんの妻である限り、人並みに妻らしくすることがベストである」
それだけだ。......知ってたけどね。
さて、1日たった今(正しくは半日だけど)夫はどんな心境なんだろうか。1日離れて、よくよく考えてみたら、まだ子どももできていないし、離婚したほうがマシだって気づいちゃったりして。イライラしながら1人のズボラ女に固執し続けるよりかは、ズボラモンスターとの結婚の反省を活かしてもう一度婚活するほうが効率がいいに決まっている。
そんなふうに頭の中で次から次へと無限に湧いてくるネガティブ思考をぐるぐるさせながら、夫の待つ自宅へと向かった。
ガチャッ。夫のいるリビングのドアを開けた。
「ただいま......ちょっと早いけど帰ってきちゃった」
「えっ......びっくりした! 今日は珍しく早起きなんだね」
えーと......それで、そうだ、折衷案を出してこの場をなんとかしてしまおう。
「夫くん、あのね、聞いてほしいことがあるんだ」
「うん、何?」
「私ね、これからできる限り家事をがんばっていこうと思ってる」
「......うん」
「でも、夫くんが私に求めてるレベルの家事は、一生できないんじゃないかなって思った」
「......それは、やりたくないから? できないと思うから?」
うっ! 1日冷却期間を授けたのに、結構ぐいぐい突っ込んでくるんだね。落ち着け、落ち着け私。
「できないからだよ。タイムテーブルのときに、ミスが出ないか何度も何度もチェックしながらがんばってはみたんだけど、それでもダメでさ。もしかしたら、生まれつきそういう傾向が高い人間なのかもしれない」
「ああ......」
「でも、夫くんと一生一緒にいたいから、私なりに一生懸命がんばるって約束する」
「............」
ちょっとくさかったかしら。でも、これくらい言っとかなくっちゃね。
「そんなに自覚があるなら一度病院で診てもらったら?ほら、ただっちがストレス溜まったときに、指のささくれを広げる癖も最近どんどん酷くなってるし。自傷行為って感じがしてみてられないよ」
あれっ......この癖、これまでずっと隠して生きてきたつもりだったんだけど、バレてたのか。私の手元なんて、じっくり見てる気配なんか一切なかったから気づかなかった......。
隠してるつもりだったけど、隠せてなかった......? なんでかわからないけど、顔がかぁーっと熱くなっていった。