ダメ主婦、夫にも実家にも白旗 5月某日
「ごめん......つい口出ししちゃって。厳しくするのが、ただっちのためだと思ってたんだ。こわがらせちゃって、ごめんね」
━━ああ、違うんだ。ごめん。こわいだなんて、まるで夫が一方的に悪者みたいだ。
「夫くんは、悪くない」
そもそも私が普通の主婦の家事レベルの水準を満たしてさえいれば、こうはならなかったんだから。すべての元凶は私なんだ。
ごめん......本当にごめん。申し訳ない気持ちでいっぱいいっぱいで、ぶわぁっと涙がまた、あふれ出してきた。
そんな私を見た夫は、やさしい声でこう言った。
「ただっち、一度実家に帰ってゆっくりしておいでよ」
「じ......実家? 私1人で?」
「うん。今の状態だとオレと一緒にいてもつらいだけかもしれないし。軽くうつっぽくなってきそうに見えるし......好きなだけリフレッシュしておいでよ。オレのことは気にしなくてもいいから」
「ありがとう」
そう言って私は、すぐさま帰省の準備をし、休む暇もなく家を飛び出した。
「お母さん、ただいま~」とにかく明るく、台所にいる母に声をかけた。
実家に帰るのは、すごく久しぶりだ。きっと母も父も、それから妹も、私の突然の帰省を喜んでくれることだろう。
「えっ、ただっち? 何?」
......なんだよ、そのくらい反応は。全然うれしそうじゃない。
「ちょっと最近生活に疲れちゃってさぁ。1日実家でリフレッシュしようと思って、帰ってきたんだ」
こんなことを言うと心配かけちゃうかもしれないけどね。
「......夫くんは?」