一人暮らしをしていた母がある日突然倒れ、介護が必要な状態に......。介護の経験も知識ゼロの状態で、いきなり母の身の回りのお世話をすることになった人気ブロガーのあぽりさん。『毎日が発見ネット』で連載していたあぽりさんの介護体験記がこの度1冊の本『78歳母とブロガー娘の 今日からいきなり介護です』(KADOKAWA)になりました。そこで今回は、あぽりさんに介護体験記を書くきっかけや作品に込めた思いを聞きました。
■忘れられないあの日。倒れた母を見つけた時は「死んでる!」と思った
――介護について発信しようと思ったきっかけついてお聞かせください。
母が突然寝たきりになってしまった時は、どうしたらいいのか何もわかリませんでした。そんな時、体験したことをブログに書けば、私にとっても読者にとっても、何か参考になることがあるのではないかと思ったんです。
実際に書いてみると、同じように介護をしている方がたくさんいて、自分事のように心配してくれたり励ましたりしてくれました。
まだ介護とは縁がなくてもいずれは自分の親も......と参考に読んで下さる方も多かったです。
――お母さんが一人きりで倒れているところを発見するという衝撃の展開から始まります。この時の心境についてお聞かせください。
本当に衝撃的で!!!(!マークが何個もついてしまうほど)。
死んでる!と思ってしまい、身体に触るのも怖かったです。
「お母さん!お母さん!」と何度も叫んでしまいました。
――お母さんが入院している間、一番大変だったのはどんなことでしょうか?
毎日お見舞いに行っていた時、病院が遠くて、そこへの通院が一番大変でした。
■介護は一人じゃできないから、頼れるものはなんでも頼る!
――あぽりさんとお母さんは昔は仲が悪かったそうですね。お母さんの介護を引き受けるにあたって葛藤などはありましたか?
なぜ母の介護を引き受けたのかと言えば、「たまたまそばにいたから」なのですが、やっぱり倒れてしまって、誰かに頼らないと生きていけないとなると、私しかいないな、と。
親子の縁を切ることが出来ない以上、面倒を見るしかないと思いました。
葛藤はあまり無かったんですよ。
父が亡くなる時に、「お母さんのこと、よろしく頼む」と言われていたのもありました。
――親の介護と自分の家庭を回すことの両立はなかなか難しいように思います。うまくやりくりする秘訣などはありますか?
いまだに全然うまく出来ません!
親の介護も重いし、家庭の事も重くて、2つの重い事を同時にやるのは厳しいですね。
私の場合はどちらも中途半端になっていました。
そうなると、うまく出来ないことにさらにイライラしてしまうんです。
家族や兄弟、介護サービスなど、頼れる先があれば思う存分頼った方がいいと思います。
――夫と家事分担についてぶつかった話は連載時の反響が大きかったです。今振り返ってみて、どうやってこの問題を乗り越えられたと思いますか?
自分の親の事だから自分1人でやらなきゃいけないと思って突っ走っていましたが、初めから夫にもっと細かく相談して、遠慮なんかせずに頼れば良かったと思いました。
夫も半分は他人事だったと思いますが、私が泣いて怒って、やっと向き合ったんだと思います。
■笑う角には福来たる! 介護生活だって毎日笑って過ごしたい
――あぽりさんの介護のお話は、大変なはずなのにクスッと笑えたり微笑ましかったりするところが魅力だと思います。心の負担を軽くするために心がけていることなどありますか?
とにかく笑うこと。
無理矢理でも笑うこと。
泣きながらでも笑うこと。
笑う門には福来る...になるといいなと思って笑って過ごしています!
――現在のあぽりさん、そしてお母さんはどう過ごしていらっしゃいますか?
母は、週に2回リハビリ型デイサービスへ行き、週に1回ヘルパーさんに来ていただいています。
私は、週に1回の訪問と、月に数回の通院付き添いや買い物の付き合いをしています。
今は母もかなり自立した生活を送ってくれているので、それほど負担なく気楽に過ごせています。
――最後に、今現在親の介護に向き合っている方にメッセージをお願いします。
私はなんでも1人でやろうとして失敗してしまった過去があるので、皆さんは決して1人で背負い込むことのないようにして欲しいです。
介護は1人では出来ないので、頼れるものは何でも頼って欲しいです。
もしかしたら、こちらが決定したことに対して外野が何だかんだと言ってくるかもしれません。
だけど『介護をしている人は誰なのか』。その人が、自分のやりたいようにやるのが一番だと思っています。
介護はいずれ終わりが来ます。
それは「死」を意味するのですが、私はそれを思うと切なくなります。
どんなに手を尽くしても後悔することがあると思うけれど、その後悔が少しでも少なくなるように、最後までお互い頑張っていきましょう!