女性がもっとも恐れるのは「男の無関心」である/大人の男と女のつきあい方

女性がもっとも恐れるのは「男の無関心」である/大人の男と女のつきあい方 pixta_17921524_S.jpg40歳を過ぎ、しかも家庭を持つ男の恋愛は難しいのが現実。しかし、年齢を重ねても、たとえ結婚していても異性と付き合うことで人間は磨かれる、と著者は考えます。

本書『大人の「男と女」のつきあい方』で、成熟した大人の男と女が品格を忘れず愉しくつきあうための知恵を学びませんか?

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前の記事「傷つくことを恐れていたら、いい恋はできない!/大人の男と女のつきあい方(1)」はこちら。

 

女性がこの世でいちばん恐れるもの

ホテルのティールームで打ち合わせをしていたときのこと。相手は私の講演をプロデュースしてくれる会社の青年。なかなかハンサムでスタイルもいい。だが、何度か会って知ったことだが恋人はいないらしい。これまでも恋愛体験は少ないようだ。ルックスだけを見れば、モテても決しておかしくないタイプだ。

「出会いがないし、モテないんですよね」どうも彼の本音のようである。
打ち合わせ中、すぐ隣の席にOLとおぼしき二人の女性が座った。ともに美人である。となると、私のほうは打ち合わせそっちのけで、どうしてもそちらに目がいく。だが、彼はというと、一生懸命に講演の段どりを説明している。仕事中に女性に目を向けたら、私に失礼だと思っているのだろうか。

ほどなく、女性のうちの一人が手にしていたボールペンを落とし、こちらの席に転がってきて彼の足元で止まった。拾って渡してあげるものと思っていたら、彼は気がついていない。
しかたなく私は立ち上がり、彼の足元からボールペンを拾い上げ彼女に渡してあげた。彼女は微笑(ほほえ)みながら私に礼をいった。

「ありがとうございます」
「どういたしまして。いいボールペンですね」

その様子を黙って見ていた彼が、申し訳なさそうに私を見上げてひと言わびた。

「あっ、すみません。気がつかなくて」

そのあと、彼ははじめて彼女たちに視線を移し、私に向かってこういった。

「きれいな人ですね」
「オレにいってどうするの? 彼女たちにいいなさいよ」

彼が女性との交友関係に恵まれていない原因が、わかるような気がした。
つまり、いい言葉でいえば「シャイ」であり、悪い言葉でいえば「鈍感」なのである。打ち合わせに没頭しているのはいいが、女性の気配を感じられないのか、あるいは感じていても対応できないのか定かではないが、女性に対してストレートに振る舞えないのだ。
 
女性がもっとも恐れるのは「男の無関心」である。見ず知らずの男であっても、自分が隣にいることに無関心であること、チラリとでも自分の顔を見ないことは、ある意味で失礼なことなのだ。ましてや、自分がボールペンを落としたことに気づかない男の鈍感さなど、侮辱といっても過言ではない。

そういえば最近、電車のなかで若い美女が乗ってきても、若い男たちは振り向きもしないで、夢中で携帯電話やスマートフォンでゲームなどをやっている。

「若い男たちにエロスがなくなっている」と嘆いているのは作家の渡辺淳一氏だが、彼はまた「いくつになってもエロスこそ元気のもと」ともおっしゃっている。同感である。
いつもギラギラしていて、どんな女性にでもイヤらしい視線を向ける男もいかがなものかと思うが、無関心男や弱気な男はそれ以上に嫌われる。男としての魅力が感じられないからだ。

イタリア人男性は、それこそどんな女性にもストレートな視線を向け、話しかけるチャンスをうかがっていて、それが男の義務だとさえ思っているといわれる。イタリア男性ほどではないにしても、日本男児ももう少し女性への関心をストレートに表現すべきではないだろうか。

 

何もしない男がいちばん嫌われる

かつては気の弱い男、シャイな男に対して「母性本能をくすぐる」頼りなさそうで放っておけない」などと好意を寄せる女性もいたかもしれない。だが、いまはそんな牧歌(ぼっか)的な時代ではない。「好きなら好き、嫌いなら嫌いとはっきりしなさい」という女性が圧倒的多数なのだ。

もはや「男は黙って......」待っているタイプなど、見向きもされないと肝に銘じておくべし。男女の出会いの可能性だけでいえば、寡黙な高倉健タイプよりは、軽薄でも高田純次タイプのほうが成功の確率ははるかに高い。

それに、私にいわせれば当たり前のことだが、きっかけづくりは男性の役目だ。失敗しても、めげることなくチャレンジしつづける男でいいのだ。フラれて当たり前、一度や二度の失敗で傷ついているようでは、ステキな女性とめぐり合うことなどできない。

こと、出会いのきっかけづくりに関しては、イチローのような三割バッターなど夢。一割バッターで首位打者、くらいに考えておいたほうがいい。

先のボールペンの彼がいい例だ。飛んできたボールに手も出さず、バッターボックスでバットを持ったまま突っ立っているだけでは、いつまでたっても見逃しの三振ばかり。マンガではあるまいし、ボールのほうからバットに当たってくれることなど万に―つもない。

中谷彰宏さんがいっている。
「こんなことをしたら嫌われるのではないかと、何もしない男がいちばん嫌われる」

空振り三振を恐れずにチャレンジすること。そうすれば、いつか必ずヒットは打てる。女性に縁のない男は、シャイな自分にサヨナラして、当たって砕けろである。
「失敗の積み重ねが成功への道」は、何もビジネスの世界だけではない。

 

次の記事「意中の女性の心を射止めるより、自己愛を優先していないか?/大人の男と女のつきあい方(3)」はこちら。

川北義則(かわきた・よしのり)
1935年大阪生まれ。1958年慶應義塾大学経済学部卒業後、東京スポーツ新聞社に入社。文化部長、出版部長を歴任。1977年に退社し、日本クリエート社を設立する。現在、出版プロデューサーとして活躍するとともに、エッセイスト・評論家として、新聞や雑誌などに執筆。講演なども精力的に行なっている。主な著書に『遊びの品格』(KADOKAWA)、『40歳から伸びる人、40歳で止まる人』『男の品格』『人間関係のしきたり』(以上、PHP研究所)など。

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『大人の「男と女」のつきあい方』
(川北義則 / KADOKAWA)
「年齢を重ねても、たとえ結婚していたとしても、異性と付き合うことによって、人間は磨かれる」というのが著者の考え。しかし、40歳を過ぎてから、 しかも家庭を持つ男の恋愛は難しいのが現実です。 本書は、成熟した大人の男と女が品格を忘れず、愉しくつきあうための知恵を紹介。 いつまでも色気のある男は、仕事も人生もうまくいく!

 
この記事は書籍『大人の「男と女」のつきあい方』からの抜粋です

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