「草食系男子」にひと言。傷つくことを恐れていたら恋はできない!/大人の男と女のつきあい方

pixta_35000440_S.jpg40歳を過ぎ、しかも家庭を持つ男性の恋愛は難しいのが現実。しかし、年齢を重ねても、たとえ結婚していても異性と付き合うことで人間は磨かれる、と著者は考えます。

本書『大人の「男と女」のつきあい方』で、成熟した大人の男と女が品格を忘れず愉しくつきあうための知恵を学びませんか?

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傷つくことを恐れていたら、恋などできない

「男が本当に好きなものは二つ。危険と遊びである。そしてまた、男は女を愛するが、それは遊びのなかでもっとも危険なものであるからだ」
哲学者ニーチェの言葉である。

もの心ついたときから死ぬまで、男は女に恋をする。ある日、一人の女に心惹(ひ)かれ、何とか近づこうと、きっかけを探す。ようやくきっかけを見つけて話しかけ、やがて「男と女」としてつきあうことを願って手を尽くす。成功することもあれば、失敗に終わることもある。感動したり失望したりしながら、女とのつきあい方を学んでいく。ときには手ひどく傷つくこともあるだろう。危険は承知の上での女性関係なのだ。

それこそ人間として、男として生きていく証(あか)しだと私は思っている。

「恋愛が与えうる最大の幸福は、愛する人の手をはじめて握ることである」といったのはスタンダールだが、男にとって生まれてはじめて生身の女性に触れるということは、人生の大きな感動であり、忘れられないエポックである。とうの昔のこととはいえ、私にもそんな経験はある。

ところが、最近では生身の女性が、必ずしもすべての男の憧れではなくなってきているようだ。とくに若い男性にそんな傾向が見られる。生身の女性と話して傷つくことを恐れるのだろう。「草食系」といわれる若い男性しかりである。

以前、アメリカのラスベガスで、世界初となる女性のセックスロボットのお披露日会が行なわれたという記事を読んだ「(AFPBB News」2010年1月10日付。)
開発したのはアメリカのトウルー・コンパニオン社。日本でも男性誌などでこうした商品の広告を見かけるが、どうやらそれは日本だけの傾向ではないようだ。

このロボットは「Roxxxy(ロクシー)」と名づけられ、身長170センチ、休重54キロで、売りとなっているのは、いままでの「ダッチワイフ」と違って人工知能を搭載していること。

こちらの話を聞き、逆に話しかけてもくる。さらには触られるとそれに反応し、睡眠までとるという。

また、このセックスロボットは「社交的で大胆な性格」「つつましやかで恥ずかしがりや」若くて傷つきやすい」「母親のような強さ」「もっとも大胆」という五つの性格が用意されており、購入者は性格別に選択できるそうだ。もちろん、髪型や人種、バストサイズなども自由に選べる。価格は一体7000~9000ドルだという。約60万~80万円だ。

なぜ、このようなものを商品として開発しなければならないのか。ちょっと異常ではないか。生身の女性と接することのできない、あるいは接したくない男性が、文明国で激増しているということなのかもしれない。

なかには既婚者でありながら、そうしたセックスロボットや人形のためにアパートの一室を借りている男性もいるというから、開いた口がふさがらない。
趣味といってしまえばそれまでだが、ちょっとおかしい。そんな男性にとって生身の女性は、心をときめかせ、勇気を奮ってアプローチし恋愛関係を結ぶという対象ではなく、おそらく恐怖の対象なのだろう。

直接会って話をすると、相手に嫌われてしまうのではないか、怒らせてしまうのではないか。そんな自分には耐えられない。だが、意思を持たない機械やゲームの世界なら、自分の思っているどんな無謀な要求でも必ず受け入れてくれる。

自分が傷つかなくてすむ。そういう人間にとっては、セックスロボットというのは、まさに自分の言いなりになる理想的な存在なのかもしれない。

こうした世界というのは、ある意味では麻薬と同じである。自分勝手な心地よさを一度受け入れてしまうとのめり込んでしまい、なかなか抜け出せなくなってしまうのだろう。
それがエスカレートしていくと、一人だけの世界では飽き足りなくなり、現実の世界でも同じようなことをやるようになる。もちろん、標的となるのは自分より立場の弱い相手。力の劣る女性や子どもや動物、お金で何でもすんでしまう相手。いずれにせよ、ロクなものではない。

うまくいってもいかなくても、生身の女性のほうがいい私などからすれば、とても信じられない話である。そういう人間は、何を恐れているのか、何を躊躇(ちゅうちょ)しているのかといいたい。気に入った女性にアプローチして失敗することと、暗い部屋でセックスロボット相手に痴態を演じることと、どちらが恥ずかしいかを考えてみればいい。

傷つくことを恐れていたら、生身の女性といい恋などできるわけがない。ニーテェのいうとおり、生身の女性との恋はリスクがあるからこそ駆け引きの面白さがあるのだ。

余談だが、かつて日本の第一次南極越冬隊は、"南極1号"というダッチワイフを同行させた。国家的事業に参加する男性ばかりの隊員たちを慮(おもんぱか)って、彼女は国家予算で作成された。いわば「国家公務員」であったわけだ。越冬隊中、唯一の「女性隊員」であった彼女にとっては幸か不幸か、バージンのまま帰国したという。

さすがに越冬隊の精鋭、日本男児の誇りは健在だったということだ。

 

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川北義則(かわきた・よしのり)
1935年大阪生まれ。1958年慶應義塾大学経済学部卒業後、東京スポーツ新聞社に入社。文化部長、出版部長を歴任。1977年に退社し、日本クリエート社を設立する。現在、出版プロデューサーとして活躍するとともに、エッセイスト・評論家として、新聞や雑誌などに執筆。講演なども精力的に行なっている。主な著書に『遊びの品格』(KADOKAWA)、『40歳から伸びる人、40歳で止まる人』『男の品格』『人間関係のしきたり』(以上、PHP研究所)など。

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『大人の「男と女」のつきあい方』
(川北義則 / KADOKAWA)
「年齢を重ねても、たとえ結婚していたとしても、異性と付き合うことによって、人間は磨かれる」というのが著者の考え。しかし、40歳を過ぎてから、 しかも家庭を持つ男の恋愛は難しいのが現実です。 本書は、成熟した大人の男と女が品格を忘れず、愉しくつきあうための知恵を紹介。 いつまでも色気のある男は、仕事も人生もうまくいく!

この記事は書籍『大人の「男と女」のつきあい方』からの抜粋です
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