長く社会人として活躍している人でも、「これはマナー違反では?」「この言い方で大丈夫だろうか?」と不安になったことはありませんか? 『図解 社会人の基本 マナー大全』と『図解 社会人の基本 敬語・話し方大全』(ともに、岩下宣子/講談社)は、『マナー大全』では社会人なら知っておきたい、お祝いの席やお悔やみの場での礼式や、日常の「ふるまい」「食事」の作法など、今さら人には聞けないマナーの基本をイラストいっぱいで解説。
『敬語・話し方大全』では、名刺交換の作法や、大切な商談の場での話し方、ビジネス電話やあいさつ、雑談、冠婚葬祭のスピーチなど、コミュニケーションにおける「どうすれば?」に応えてくれる内容となっている。
こちら2冊の中身を厳選してご紹介しよう!
■意外な落とし穴!? あなたのケータイリテラシーは大丈夫?
「ケータイ」のマナーは、案外「鬼門」のように思える。学生時代からケータイに慣れ親しんだ世代と、そうではない世代とでは、大きなジェネレーションギャップがあるからだ。上司に「非常識だろ!」と思われないためにも、しっかりとしたケータイリテラシーを身に付けてほしい。
(1)会議中は、携帯電話に出ないのが基本。もし、緊急で掛かってきてしまった場合には、すばやく電話に出て、出席者に一言断って席を外し、用件は簡潔に済ませて会議に戻ること。もちろん会議中はマナーモードにしておくことも忘れずに。
(2)こちらから先方にかけた時、はじめに名乗ったら「ただ今、お時間よろしいでしょうか?」と一言入れること。いきなり用件に入ってはいけない。
(3)「転送」や「留守電」など、便利な機能は積極的に活用。
(4)留守録はまめにチェックして「折り返し電話」をすみやかに。携帯電話は、自分が掛ける時も掛かってくる時も、急ぎの用件である場合が多いため、後回しにせず迅速に対応を。
(5)外出先での通話やカメラ機能の利用には細心の注意を。
仕事の重要事項や顧客に関することは、相手が誰でも外出中の通話で話さないように。誰がどこで聞いているか分からない。どうしても出先から上司に報告したい時は、周囲に気を遣って。また、取引先でも社内でも、むやみにカメラ機能を使うのは考えもの。会社には外部に漏れたら困るものがたくさんある。あらぬ疑いをかけられないためにも、慎む方がいいだろう。
■ごちそうする・ごちそうになる――スマートなオトナの対応とは?
社会人になれば食事をごちそうになる機会もあるだろう。「お礼を一切言わない」なんて無礼な人はそうそういないと思うが、「おごってもらう時の食事マナーは?」「お礼の言葉だけでいいのだろうか?」など、人間関係が広くなればなるほど、悩むこともあるはず。
改めて確認しておこう!
【ごちそうする時のマナー】
(1)安い料理ばかり注文しない。相手に気兼ねなく料理を選んでもらえるように心を配ろう。
(2)相手の前での支払いは避ける。金額は知られないようにすること。
(3)予算オーバーでも冷静に。クレジットカードが利用できるかどうか、事前にチェックしておくと焦ることもないだろう。また、思ったより安くても、それを言ったり、顔に出したりするのはスマートではない。
【ごちそうされる時のマナー】
(1)遠慮しないで注文する。高い物ばかり選ぶのもマナー違反だが、安い物ばかりでも相手のメンツを潰してしまいかねない。好きな物を頼み、喜びを表すのが一番。
(2)支払い中はレジの近くに立たない。先にお店を出てしまうくらいでもOK。
(3)お返しは別の機会に。お礼の言葉は「お会計後すぐ」「お別れの時」「翌日メールや手紙(ハガキではなく封書)」の3回できるとベスト。言葉だけでは足りないと感じたなら、次の食事の時に今度は自分がごちそうするか、または相手の誕生日などに贈り物をするのがスマートだ。
■社会人として迂闊に使ってはいけない【3D】とは!?
「だって」「でも」「どうせ」の【3D】。学生時代のノリで、つい口にしてしまう人もいるのでは。社会人になれば不条理だと感じることもあるだろう。しかし、この3Dを多用していては、相手から幼稚に見られてしまう可能性も。3Dを使わない言葉遣いを覚えるべきだ。
以下、場面フレーズをご紹介するので、大いに参考にしてほしい!
× だって、ダメっておっしゃったじゃないですか!
○ この件は厳しいとおっしゃっていましたが、いかがいたしましょうか?
× でも、この前と話が違いますよね?
○ 先日のお話では、来月納入と承っております。
× どうせ納期に間に合わないと思いますよ。
○ 納期に間に合わせるには難しい状況ですが......。
■人間関係がこじれる2つのピンチに使えるフレーズを紹介!
「断る」「謝罪する」場面は、社会人にとって避けては通れない。だが、一番人間関係が不和になるのは、こういった場面での「話し方」。「言い方が良くなかった」だけで、相手に悪い印象を持たれてしまうのはデメリットしかないだろう。
そこで、「断る」「謝罪する」時のフレーズもしっかりマスターすべし!
(1)相手を不快にさせない「断る時のキーワード」
・日ごろのお付き合いへの感謝の言葉
・引き受けられない理由
・お詫び+NOの意思表示
・代案を示す
【取引先が納期のくり上げを申し入れてきた】
× 検討はしてみますが、多分無理です。
○ 当社もギリギリのところでやっておりまして......。ご理解頂けると助かります。※断る理由をはっきりとさせること。
【取引先に追加注文の取り消しを告げる】
× あの商品は品薄で納入が間に合わないかもしれないとおっしゃってましたよね。だから、追加はキャンセルすることになりました。
○ 大変申し訳ございません。こちらから無理をお願いしておきながら心苦しいのですが、今から追加注文の取り消しはできますでしょうか?
※相手側に非があるような物言いはしないこと。
(2)相手が納得してくれる「謝る時のキーワード」
・お詫びの言葉をはっきりと言う
・言い訳から話を始めない
・どんなに相手が怒ろうとも耐える
・対応策を提示する
【取引先に納入した商品が間違っていた】
× 申し訳ございません。きっと配送業者の誤送ですね。
○ ご迷惑をおかけして、大変申し訳ございません。本日着で再配送の手配をいたしました。※上辺だけの謝罪をせず、代案を提示すること。
【上司に書類のミスを指摘された】
× ごめんなさい。部長に頼まれた仕事だけに、少しでも早く終わらせたいと思いまして。
○ 確認不足で申し訳ございません。以後気を付けます。ご指摘ありがとうございました。
※反省していることをしっかり伝え、相手を不快にさせないような心配りの一言も添える。
以上、いかがだろうか?
「マナーは、よりよい人間関係を築くために欠かせない『生活の知恵』」だと著者は述べる。社会人として恥ずかしくない振る舞いを身に付けることは、あなたを本当の「大人」にするだろう。