汗を吸って発熱するスグレモノ。ヒートテック~知ってる? 身のまわりのモノの技術(15)【連載】

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ユニクロと東レが共同開発して発売した肌着類の「ヒートテック」が人気だ。発熱・保温・吸汗速乾という肌着として優れた性質を持っている。老若男女を問わず多くの支持を集め、年々売り上げを伸ばしている。最近では、肌着に限らず、その優れた特性が活かされたTシャツやジーンズなども発売されている。

こうした特徴を持つ肌着はヒートテックだけではない。一般的に、保温や発熱などの特別な性質を備えた衣類を機能性衣類といい、大型スーパーなども独自ブランドで発売している。国内の繊維産業の生産額が大きく減少するなか、その原料繊維(機能性繊維)は大きく売り上げを伸ばしている。

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保温発熱効果を持つ衣類の多くにはレーヨン、アクリル、ポリエステルなどの繊維や生地が組み合わされ、それらの特徴が活かされている。その代表例をヒートテックで調べてみよう。

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肌に接するところには綿の肌触りのレーヨンが配されている。肌から放出される水蒸気は、レーヨンの持つ優れた吸湿性のために水(要するに汗)になる。その際に凝縮熱が生まれ、繊維の温度が高くなる。これが暖かさを感じさせる秘密だ。2〜3度上昇すると宣伝されている製品もある。人間は1日に1リットル近くの水分を肌から放出するが、その生理作用が暖かさの原動力として利用されているのだ。

レーヨンの外側にはアクリルが配されている。極細に加工されて保温性の高められたアクリル繊維は、体温や発生した凝縮熱で暖められた空気を保持する。また、アクリルは吸湿性が高い。体を冷やしてしまう汗は、ここで外側に運ばれることになる。その外側にはポリエステル繊維が配されている。通常のポリエステルでも水分をはじき速乾性に優れているが、さらに異形断面を持つように改良がなされており、汗をすぐに外へと運んで蒸発させる。

これが薄く軽い肌着が暖かさを保つしくみである。機能性衣類には、現代科学の粋が織り込まれているのだ。

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涌井 良幸(わくい よしゆき)
1950年、東京都生まれ。東京教育大学(現・筑波大学)数学科を卒業後、千葉県立高等学校の教職に就く。現在は高校の数学教諭を務める傍ら、コンピュータを活用した教育法や統計学の研究を行なっている。
涌井 貞美(わくい さだみ)

1952年、東京都生まれ。東京大学理学系研究科修士課程を修了後、 富士通に就職。その後、神奈川県立高等学校の教員を経て、サイエンスライターとして独立。現在は書籍や雑誌の執筆を中心に活動している。

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「雑学科学読本 身のまわりのモノの技術」
(涌井良幸 涌井貞美/KADOKAWA)
家電からハイテク機器、乗り物、さらには家庭用品まで、私たちが日頃よく使っているモノの技術に関する素朴な疑問を、図解とともにわかりやすく解説している「雑学科学読本」です。

この記事は書籍「雑学科学読本 身のまわりのモノの技術」(KADOKAWA)からの抜粋です。
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