家族5人で住んでいた古い団地で、1人の暮らしを楽しんでいる多良美智子さん。快適に暮らすためにしていることを教えていただきました。
【前回】「1人の暮らし」を楽しむ片付けのヒント。87歳人気YouTuber「あるものを生かした暮らし」
「1人の暮らし」を楽しむ片付けのヒント
87歳・多良美智子さん
【片付けのヒント】リサイクルを楽しむ
いらなくなったものは、捨てずにリサイクルすることで、コミュニケーションになることも。
書棚はご主人の手作り。書店で見かけて「いいな」と思った雑誌を買うことが多いそう。
本は仲間で循環する
「書籍を購入したことはありません。図書館で借りることもありますが、友人からまわってきたものを読むことが多いですね。読み終えたら読書記録をつけ、ラジオ体操の仲間へ『循環』しています。我が家の本棚に残してあるのは、料理の本やライフスタイル系の雑誌たち。何度も何度も読み返して楽しんでいます」(多良さん)
台所用品は少しでいい
「1人の暮らしに大きな鍋は必要なし。パスタ用のものを1つだけ残し、他のものは子どもたちやご近所の方へ渡し、使っていただいています。ガスオーブンも、ケーキ等を焼かなくなったのでおさがりへ。手元に残したものはわずかですが、狭いキッチンをスッキリさせることができました」(多良さん)
【お皿は子世代へ】
たくさんあった食器類は、娘さんとお嫁さんの元へ。「自分が好きなものだけを残しました。お皿の処分は、私にとってとても大きな片付けでした」
着ない服は世界のために役立てる
「洋服やバッグなどは気に入ったものを買うため、なかなか捨てられずにいました。外国に寄付するボランティアがあると聞き『人の役に立つのなら』と段ボール2箱分を寄付。捨てるのではなく誰かの役に立つためだと思ったら、不思議と手放すことができたんです。丁寧なお礼状も届き、心がほっこりしました」(多良さん)
ため込んだ端切れは小物に変身
カラフルでおしゃれなお針箱は多良さんの手作り
「針を持っていれば、一日中退屈知らず。昔から、1人でコツコツする仕事が好きなんです。集めていた端切れはつぎ合わせて刺子にし、コースターや鍋つかみに。手作りのマスクもたくさん作りました。毛糸は手編みのベッドカバーに。こうして作った小物は、お友達へのプレゼントにすることもあります」(多良さん)
【片付けのヒント】足るを知る
持ち物を自分にとってちょうどいい量に抑えることが、1人暮らしを楽しむコツに。
「思い出」より「居心地」で家具を減らす
「夫が使っていた洋服だんすとソファを手放したら、部屋の風通しが良くなりました。各部屋にあった作り付けの棚も2つだけ残して片付けたので、壁や天井がスッキリ。収納を減らした分だけいらないものを手放すことになりましたが、1年間続けた『1日1品捨て』のおかげでサッパリしました」(多良さん)
お気に入りの布で「隠す」収納
アンティーク独特の風合いがお気に入りです。和だんすの上を飾るのは、京都の骨董市で購入したという古布。
「団地住まいを居心地よくするために、若い頃から模様替えをよくしていました。インテリアを変えるのは難しいものですが、布を使うことで手軽に雰囲気を変えることができます。そこで我が家では、模様替えの小道具として布を多用。とくに好きなのは、和柄の古布。自作の刺子なども使って楽しんでいます」(多良さん)
鏡台はいらない
「狭い家なので、鏡台を置いていません。スキンケア用品や化粧道具は全てコスメボックスに。持ち歩けるのでとても便利。普段は廊下に置いておいて、必要なときに持ち運んで使うようにしています」(多良さん)
写真は靴箱1つ分で
「家族写真が驚くほどありましたが、少しずつ減らすことに。まずはアルバムから剥がし、全てを靴箱へ。何度も何度も眺め、いらないと感じたものを手放し、ようやく1箱まで減らしました」(多良さん)
ガーデニングも1人分に
「団地の中の庭を借りて、私専用の花壇に。庭仕事に使用する道具類は、ひとまとめにしてカゴの中に収納しています。ベランダで少し前まで野菜を作っていましたが、食べ切れないので、花に切り替えました」(多良さん)
押し入れで保存食を管理
「家族が減ったことで押し入れにスペースができたので、健康作りに活用しています。作っているのは自家製の梅干しや、びわの葉を焼酎に漬けたものなど。熟成させるのにちょうどいいんです」(多良さん)
取材・文/和栗 恵 撮影/林ひろし