「頭の中がごちゃごちゃで、仕事が前に進まない」「次から次へと問題が起こってスケジュールが遅延している」...こうした複雑な問題を一瞬でシンプルにしたいなら、紙に、2本の線を引いてみてください。
本書『2軸思考』で、あらゆる問題をタテとヨコの2軸で整理して考える方法を学び、最速の時間で最大の成果をあげていきましょう! 今回はその2回目です。
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前の記事「紙に2本の線を引くだけで、すべてが解決する/2軸思考(1)」はこちら。
2本の線を引くだけで、複雑な問題をシンプルに解決できる
日々発生する問題を解決するためにいろいろな方法を試し、試行錯誤した末に行き着いたのが、「あらゆる問題を、タテとヨコの2軸で整理して考える」という方法でした。私はこれを、「2軸思考」と呼んでいます。
2軸思考は、世界一シンプルなフレームワークです。タテとヨコの2本の線を引くだけで、あらゆる問題を一瞬でシンプルに整理し、解決できる魔法のようなツールです。実際、メンバーが行き詰まっている問題を2軸でシンプルに整理してみせると、「ぽかん」とされたり、「目からウロコです」と言われることが多くあります。
2軸でシンプルに整理すると、その問題の重要なポイントがクリアになるので、重要なポイントに集中して深く考えることができるようになります。その裏返しで「重要でないこと」も明確になるので、考える必要のないことは切り捨てることができ、解決までのスピードが速くなります。
そして、2軸思考の何よりのメリットは、難しいノウハウは一切必要ないということです。生まれつきの頭の良さや仕事経験なども関係なく、誰でもすぐに実践することができます。2本の線さえ引ければ、「3C」とか「PPM」のようなコンサルタントが繰り出す小難しいフレームワークを覚える必要もありません。
「フレームワークが使えない」と思っている人にこそ有効
本書は、次のような悩みを抱える人のお役に立てると思います。
・ 「ロジカルシンキング」や「フレームワーク」が大事なのはわかっている。でも、現実の仕事を前にするとどう使っていいのかわからない
・ 考えるのが遅い。いくらビジネス書を読んだりセミナーを受けたりしてみても、考えるスピードが速くならない
・「早く問題を解決しろ」と言われても、考えるには時間が必要だと思っている
・複雑なことをわかりやすく説明するのが苦手。話が長くなってしまう
・ マネジャーになってから一気に解決すべきタスクが増えた。部下からも相談を受けるが、問題が増える一方でどうしていいかわからない
私が社会人になってからの15年間を考えても、ビジネスの環境は驚くほどのスピードで変化しました。ひとつのプロジェクトのスピードが格段に上がり、個人のタスクも私たちが浴びる情報量もどんどん増えています。
このような時代にこそ、「いかに速く、いかに深く考えられるか」が成果を大きく左右します。ある問題に直面したときに、「問題に対して単に思いつきで対処する人」と「問題をロジカルにシンプルに整理して解決する人」とでは大きな差がついていくのが、いまの時代なのです。
2軸でロジカルに考える習慣を身につけると、早い人で1週間、そうでなくても1カ月後には、あなたの周りの複雑な問題をシンプルに整理できるようになり、忙しさやイライラから解放されるはずです。
これからの時代は、過去に例のない問題が増えていきます。しかし2軸でロジカルに考えれば、もし過去に経験したことのない大きくて複雑な問題がやってきたとしても、いままでよりもずっと短い時間で本質的な解決を導き出すことが可能になります。そして、感覚や思いつきで仕事をするようなことはなくなります。
次の記事「トラブル発生! そのとき全体を俯瞰し問題をシンプルにしてから考えることができるか?/2軸思考(3)」はこちら。
木部 智之(きべ・ともゆき)
日本IBMエグゼクティブ・プロジェクト・マネジャー。横浜国立大学大学院環境情報学府工学研究科修了。2002年に日本IBMにシステム・エンジニアとして入社。入社3年目にしてプロジェクト・マネジャーを経験。その後、2006年のプロジェクトでフィリピン人メンバーと一緒に仕事をする機会を得る。2009年に役員のスタッフ職を経験し、2010年には 最大級の大規模システム開発プロジェクトにアサインされ、中国の大連への赴任も経験。日本と大連で500人以上のチームをリードしてきた。プロジェクト内で自分のチームメンバーを育成するためにビジネススキル講座を始め、そのコンテンツは社内でも評判となった。著書に『仕事が速い人は「見えないところ」で何をしているのか?』(KADOKAWA)がある。
『2軸思考』
(木部智之/KADOKAWA)
頭の整理も、資料作成も、報告・指示、打ち合わせも、「線を2本引くだけ」で思考のスピードが爆速に! IBMで15年活躍する著者による独自メソッドを公開します。初心者でも、どんな業種でも使える「世界一簡単なフレームワーク」の作り方を凝縮。