「頭の中がごちゃごちゃで、仕事が前に進まない」「次から次へと問題が起こってスケジュールが遅延している」...こうした複雑な問題を一瞬でシンプルにしたいなら、紙に、2本の線を引いてみてください。
本書『2軸思考』で、あらゆる問題をタテとヨコの2軸で整理して考える方法を学び、最速の時間で最大の成果をあげていきましょう! 今回はその4回目です。
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前の記事「トラブル発生! そのとき全体を俯瞰し問題をシンプルにしてから考えることができるか?/2軸思考(3)」はこちら。
「即行動」がいいとは限らない
問題を複雑なまま捉えている人は、次のような行動をしてしまいがちです。
・思いつきや衝動で動く
・目の前のトラブルだけを見て動き出す
・とりあえず、やってみる
こうした行動は、トラブルが起きていないとき、あるいはあまり難易度の高くない単純な仕事であれば成果に結びつくこともあります。
たとえば、「目標:電話で1件アポイントを取る」という場合。手当たり次第に電話をかけて運良くOKをもらうという方法であっても、1件であればすぐに成果が出ることもあります。
しかし、「目標:電話で100件アポイントを取る」という場合はどうでしょう。これだと仕事の難易度が高いため、何も考えずにただ手当たり次第に行動するだけではなかなか結果につながりません。
「すぐにやる」と「速くやる」は違う
私自身、若手にこのような話をすると
「えっ、即行動の何が悪いんですか?木部さん、いつも『速く、速く』と繰り返しているのに......」と言われることがあります。こうした疑問をくれた若手には「『すぐにやる』と『速くやる』は違うんだよ」という話をしています。
当然ですが、仕事を先延ばしにしたりぐずぐず遅らせたりすることは絶対に良くありません。「速くやる」ことは大事です。しかし、作戦も何も考えずにいきなり手を動かして「すぐにやる」と解決までに時間がムダにかかってしまい、結果的に遅くなることが多くあります。
そもそも人間は、目の前のことに興味を引かれる生き物です。それが動物の本能だからです。ポップコーンが1個落ちているのを見たハトが、それに手をつける前に「他にもポップコーンが落ちているかもしれない!」とキョロキョロ探しまわることはありません。必ず目の前のポップコーンに直行します。
それと同じで、人も「これ、お願い」と頼まれた仕事があれば、「よし、やろう」と反応するのが自然なのです。その本能をコントロールするのが理性。仕事を頼まれたときに、そこでひと呼吸おいて「考える」という理性の行為は、自分で意識的にやらないとできないことなのです。
次の記事「30個の問題を抱えていても「枠」さえ作れば解決できる/2軸思考(5)」はこちら。
木部 智之(きべ・ともゆき)
日本IBMエグゼクティブ・プロジェクト・マネジャー。横浜国立大学大学院環境情報学府工学研究科修了。2002年に日本IBMにシステム・エンジニアとして入社。入社3年目にしてプロジェクト・マネジャーを経験。その後、2006年のプロジェクトでフィリピン人メンバーと一緒に仕事をする機会を得る。2009年に役員のスタッフ職を経験し、2010年には 最大級の大規模システム開発プロジェクトにアサインされ、中国の大連への赴任も経験。日本と大連で500人以上のチームをリードしてきた。プロジェクト内で自分のチームメンバーを育成するためにビジネススキル講座を始め、そのコンテンツは社内でも評判となった。著書に『仕事が速い人は「見えないところ」で何をしているのか?』(KADOKAWA)がある。
『2軸思考』
(木部智之/KADOKAWA)
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