近すぎず、遠すぎず。アドバイスはタイミング! /ほっといて欲しいけど、ひとりはいや(2)

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人は主体性と独立性を失わないために、完全に自分自身に集中できる自律的な空間が必要である。

これをドイツ語で「シュピールラウム(Spielraum)」と呼ぶ。

ところが韓国語には、このシュピールラウムを正確に伝えられる単語がないという。

概念が存在しなければ、その概念に該当する現象も存在しない。

だからだろうか。

パーソナルスペースの重要性が多少軽視されている韓国文化の中では、とにかく日常でこれを侵害されることが多いように思う。

電車やバスで隣の人におかまいなしに大股開きで座ったり、まわりの人を押しのけて歩く行為を特に無礼と感じない人が多い。

こういう社会では、他人の心理的なスペースに対する境界がゆるいのも仕方がない。

もし、誰かが自分の家に遊びに来て、断りもなしに冷蔵庫の中をひっかきまわし、寝室のドアを平気でガバッと開けるなら、その瞬間、それは訪問ではなく侵犯になる。

日常生活で物理的な安全スペースを侵されたときの不快感。それは心に置きかえても同じ。

自分の考えを他人に強要することは、その精神世界、すなわち心のスペースを侵すようなもの。

それが、どんなに相手を心配して言うことであってもだ。

他人のスペースをむやみに侵してはならないように、人の心に立ち入る発言と行動にも気をつけなくてはいけない。

アドバイスはタイミングだ。

頼まれないうちは、いくら血となり肉となる人生の真理であっても、言わなくてよし!

【次回】精神衛生の為の2ワード。「適当」の技術とは? /ほっといて欲しいけど、ひとりはいや(3)

【まとめ読み】『ほっといて欲しいけど、ひとりはいや』記事リスト

ほっといて欲しいけど、ひとりはいや。.jpeg日韓で多くの共感を呼んだ著者が語る、人間関係に疲労した人のためのデトックスエッセイ。疲れた心のお守りになる一冊です。

 

ダンシングスネイル
著書に、長年の無気力症克服の記録を綴った『怠けてるのではなく、充電中です。』(CCCメディアハウス)があり、日本、台湾、タイ、インドネシアなどで翻訳出版された。『死にたいけどトッポッキは食べたい』(ペク・セヒ著、山口ミル訳、光文社) 、『ねこの心辞典』(未邦訳)など多数の本のイラストも描いた。

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『ほっといて欲しいけど、ひとりはいや。』

(ダンシングスネイル(翻訳:生田 美保)/CCCメディアハウス)

大人になった私たちに必要なのは、人にもたれかからない、適当な距離。私が望み、選んだ、健康的な関係。日韓で多くの共感を呼んだ著者が語る、人間関係に疲労した人のためのデトックスエッセイ。

※この記事は『ほっといて欲しいけど、ひとりはいや。』(ダンシングスネイル(翻訳:生田 美保)/CCCメディアハウス)からの抜粋です。
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