井上弘美先生と句から学ぶ俳句「夏の楽しみを詠んだ一句」

pixta_11810389_S.jpg井上弘美先生に学ぶ、旬の一句。今回は「夏の楽しみを見えるように詠む」というテーマから、夏祭を詠んだ句をご紹介します。


帯巻くとからだ廻しぬ祭笛  鈴木鷹夫

夏祭といえば炎天下に担がれる神輿や、灯りを連ねる夜店などが思い浮かびますが、この句は祭に出かける身支度を捉えた点に特色があります。

一風呂浴びて着物に袖を通すと、心はすっかり祭気分。「帯」を巻くために体をくるっと廻しているのですが、遠く聞こえる「祭笛」の効果もあって艶やかな一句に仕上がっています。祭を描かずして祭の気分を捉えた見事な作品といえます。

作者は1928(昭和3)年、東京生まれ。「門」を創刊・主宰し、人事句の名手として活躍しました。2013(平成25)年に逝去。


大きな木大きな木陰夏休み 宇多喜代子

夏休みを迎えた子どもたちにとって、自然は学びの場であると共に遊びの場であり、憩いの場でもあります。

この句は「大きな木」と「大きな木陰」を一対にした単純な句のように見えますが、「夏休み」とは、「大きな木陰」のようなものだと言っているのです。炎天下に大木の作り出す木陰は安らぎそのもの。本を開いたり、寝転んだり、人と生き物が共に過ごすことの出来る、心地良い自然の懐です。

作者は1935(昭和10)年、山口県生まれ。現俳壇を代表する女性俳人で、このほど日本芸術院会員になられました。

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<教えてくれた人>
井上弘美(いのうえ・ひろみ)先生

1953 年、京都市生まれ。「汀」主宰。「泉」同人。俳人協会評議員。「朝日新聞」京都版俳壇選者。

この記事は『毎日が発見』2017年7月号に掲載の情報です。

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