サッカー日本代表・酒井宏樹「最強のストレス解消法はよく笑い、よく眠ること」/リセットする力

サッカー日本代表・酒井宏樹「最強のストレス解消法はよく笑い、よく眠ること」/リセットする力 24051825.jpgフランスの名門マルセイユで不動の地位を確立し、サッカーワールドカップロシア大会での活躍が期待されるサッカー選手、酒井宏樹。しかし彼は「弱気」で「人見知り」という性格の持ち主だった...。
サッカー選手に不向きなその性格をいかにして克服してきたのか? 本書『リセットする力「自然と心が強くなる」考え方46』で、その具体的な方法を探っていきましょう。

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前の記事「酒井宏樹「自信を深めるメカニズムを体に覚えさせる」/リセットする力(13)」はこちら。

 

最強のストレス解消法

自分が思っていること、やっていることは正しいという信念を持たないと、世界最高峰のクラブチームであるマルセイユというプレッシャーの厳しい環境ではやっていけないと思っています。ただ、正しいということを証明するためには、やはり結果が必要です。

勝つことを義務付けられたプレッシャーに晒されると、ストレスは日々募っていきます。そこで、「なんとかそのストレスを軽減させる方法はないものだろうか」と模索しているとき、目に入ったのが近所のワイン畑やワイナリーでした。

そもそも僕は、このマルセイユというクラブで成功するために、まずは自分なりにその土地を好きになろう、ならば、その土地のことを深く知る必要がある、そうした気持ちがあって、この土地自慢のワインに以前から興味を持っていたのです。

僕は柏レイソル時代やドイツのハノーファー時代はほとんどアルコールを口にしませんでしたが、フランスに来て少量のワインを飲むようになりました。ワインを飲みながら友人と談笑して、気持ち良く眠って、次の日にはすっきりした状態で練習に向かう。まさに「よく笑い、よく眠る」です。そうやって、生活にメリハリをつけたおかげで、実際にストレスが軽減されたこともあり「もしかしたらお酒は悪くないんじゃないか」と思うようになりました。

それがルーティン化して、いまでも続いています。実際に、フランスに来て2年になりますが、体脂肪率はキープしているし、体重も変わっていません。それどころか心身のストレスから解放されて、良いパフォーマンスにつながっているとさえ感じています。

ただ、お酒は「飲んでも飲まれるな」というぐらいなので、自分のなかで「ルール」はあります。それは、ワインで1日グラス1、2杯というものです。もし自分に甘えて普段よりも多めに飲んでしまい、次の日の練習に支障をきたせば、せっかくのストレス解消方法が悪いパフォーマンスの原因になってしまいます。そうならないためにも、自分で設けたルールは必ず守ります。

だから適量であれば、僕はアルコールが悪いとはまったく思いませんし、マルセイユのワインを楽しみ始めたことで、この土地がもっと好きになったのも事実です。

日本では「アスリートは酒を飲んではいけない」という風潮があるのを感じます。
もちろんお酒を飲むにしても限度はありますが、重要なのは自分に合っているか、合っていないかの判断です。もしフランスに来たばかりの頃、ワインを飲んで、コンディションやパフォーマンスが低下したのであれば、僕は「アルコールは自分に合わない」と判断して、いまのように飲んでいなかったと思います。

 
自分が正しいと思えることをする

食事も同じです。マルセイユに来る前に血液検査をして、体質的に合わないものがわかったので、それらは摂取しないというルールはありますが、それ以外でしたら好きなものを食べるし、アルコールと一緒で、食事を楽しむことがストレス解消につながっています。

食事を制限し、アルコールも1滴も口にしない。それがアスリートのあるべき姿だと認識して、日々のストレスを抱えながらも無理にストイックな生活を続ける。その結果、心身ともにパフォーマンスレベルが低下し結果が出ず、苦悩の日々が続く。

もし、そうなれば、いったい何のために節制しているのかわかりません。
子供と同じ部屋で寝ることも「睡眠不足になるからスポーツ選手には良くない」という声も聞きます。でも僕は子供と一緒に眠ることで、よりリラックスして体を休ませることができています。

人によって何が体に良いか、自分にとって何が合っているかはそれぞれ異なるため、その時々で自分に合ったものを見つける、というのが僕の意見です。そのため、固定観念は持たず自由な発想で物事を考えるよう意識しています

僕自身、自分のプレーが良くない原因を何かのせいにして言い訳をするのは、この世で一番恥ずかしいことだと思っています。だからこそ、何事も自己責任と考える。自分のやっていることは正しいという信念を持ち、そのうえで正しいと証明するためにも結果や成果を出すことが大切です。

 

次の記事「酒井宏樹「僕がハノーファーで学んだこと。結局、ラクな選択肢に成長はない」/リセットする力(15)」はこちら。

撮影/千葉 格 

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酒井 宏樹(さかい ひろき)

1990年4月12日、長野県生まれ。千葉県柏市で育つ。柏レイソルU-15、U-18を経て2009年にトップチームへ昇格。2010年にJリーグデビュー。2011年にはチームの主力として活躍し、チームのJ1優勝とともに、ベストイレブン、ベストヤングプレーヤー賞を受賞。同年10月にはA代表に初選出される。日本での活躍が評価され2012年にドイツ・ブンデスリーガのハノーファー96へ完全移籍。主力として活躍した後、2016年6月にフランスの名門オリンピック・マルセイユへ完全移籍。マルセイユ移籍後も確固たる地位を築き、不動の右サイドバックとして活躍。日本代表でも欠かせない存在として、2018年ロシア・ワールドカップでの活躍が期待されている。

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『リセットする力「自然と心が強くなる」考え方46』

(酒井 宏樹/KADOKAWA)

「日本人は活躍できない」という前評判を覆し、フランスの名門マルセイユで不動の地位を確立し、世界の注目を集めるサッカー選手となった酒井宏樹。彼はいかにして「自信のなさ」と「メンタルの弱さ」を克服し、心を強くしていったのか。自然と心が強くなる具体的な方法をこれまでのエピソードをとおして初公開!

 
この記事は書籍『リセットする力「自然と心が強くなる」考え方46」』からの抜粋です。
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