サッカー日本代表・酒井宏樹「人が嫌がる、でも自分は苦にならないことをやる」/リセットする力

24051804.jpgフランスの名門マルセイユで不動の地位を確立し、サッカーワールドカップロシア大会での活躍が期待されるサッカー選手、酒井宏樹。しかし彼は「弱気」で「人見知り」という性格の持ち主だった...。
サッカー選手に不向きなその性格をいかにして克服してきたのか? 本書『リセットする力「自然と心が強くなる」考え方46』で、その具体的な方法を探っていきましょう。

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強いチームほど相互補完が速い

自分には何ができて何ができないかを判断することは、選手にとってつらいことです。やはり自分には無限の可能性があると信じたいもの。しかし、「できる、できない」を把握することによって、「このプレーは他の選手より自信を持ってできるけど、こういう状況では早めに味方にボールを預けて、もっと自分が活きるところに新しくポジションを取り直そう」と冷静に周囲を観察でき、よりベストな状況判断が可能となるのです。そのため、あらゆるプレーにおいて得意・不得意を洗い出して、仲間と共有しておくことは非常に大事な作業だと思います。

昔は単純に、「なんか嫌だ」という理由だけで、自分のプレーを映像で振り返ることはしていませんでしたが、いまは見るようにしています。客観視することによって、自分にできることがより明確になったからです。

たとえば、マルセイユでチームメートのフロリアン・トヴァンは、すごい才能の持ち主ですが、そんな彼にも得意なプレーと苦手なプレーが存在します。彼には「試合を決める」という特別な能力はありますが、守備力に優れているとは言えません。それが共有されていれば、ディフェンダーの僕がフロリアンの苦手なプレーを補うことで、彼が試合を決めるプレーに専念しやすい環境が生まれ、勝利の確率は高まります。

サッカーとは結局、そうしたお互いの補完作業の繰り返しで、強いチームであればあるほど11人でその作業ができていると思います。

 

人が苦手で「自分が苦にならないこと」を見つける

僕は日常生活でも、もともとそういう性分なのか、人の嫌がる作業を進んでやることで、相手が喜んでくれたらいいなという気持ちがあります。それで物事がうまくいったときが快感だったりもします。そういう性格がプレーに影響しているのかもしれません。

自分ができることで、仲間の苦手なところを補ってあげられれば、フロリアンとの連携で多くの場合、サイドを制圧できます。お互いに役割が分担できて、信頼関係が築けているからこそ、試合では「だいたいフロリアンはこのあたりにいるだろう......ほらいたっ!」と、彼の位置を常に確認していなくてもスムーズな連携プレーが可能となります。

それができるので、僕はこのマルセイユというレベルの高いクラブで居場所を見つけられたのです。もちろん自分の得意なプレーは「人の嫌がることをやる」だけではありませんが、実際に僕がボールをもらってロングシュートを打っても、入る確率は下から数えたほうが早い。だからこそ、この世界で僕が生き残るためには何をすべきかと考えれば答えは自ずと出てきます。

「特別な才能を持った選手が苦手としていることを率先してやっていこう」
非常にシンプルです。

ディミトリやフロリアンのような特別な才能を持っている選手は、サッカー選手のなかでも一握りで、その才能を持っていないほうが圧倒的に多いのもまた事実。ならば、ただ突っ立っているだけではなくて、自分には何ができるかを真剣に考えなければいけません。その思考のプロセスができなければ、各国の代表選手がひしめき合う環境ではとてもじゃないですが生き残れません。

組織には、いろいろなキャラクターの人たちがいます。そこでそれぞれが特長を出して化学反応が起き、1+1が3にも4にもなる。何かを成すことができる組織とは、そういうものだと思います。

 

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撮影/千葉 格

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酒井 宏樹(さかい ひろき)

1990年4月12日、長野県生まれ。千葉県柏市で育つ。柏レイソルU-15、U-18を経て2009年にトップチームへ昇格。2010年にJリーグデビュー。2011年にはチームの主力として活躍し、チームのJ1優勝とともに、ベストイレブン、ベストヤングプレーヤー賞を受賞。同年10月にはA代表に初選出される。日本での活躍が評価され2012年にドイツ・ブンデスリーガのハノーファー96へ完全移籍。主力として活躍した後、2016年6月にフランスの名門オリンピック・マルセイユへ完全移籍。マルセイユ移籍後も確固たる地位を築き、不動の右サイドバックとして活躍。日本代表でも欠かせない存在として、2018年ロシア・ワールドカップでの活躍が期待されている。

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『リセットする力「自然と心が強くなる」考え方46』

(酒井 宏樹/KADOKAWA)

「日本人は活躍できない」という前評判を覆し、フランスの名門マルセイユで不動の地位を確立し、世界の注目を集めるサッカー選手となった酒井宏樹。彼はいかにして「自信のなさ」と「メンタルの弱さ」を克服し、心を強くしていったのか。自然と心が強くなる具体的な方法をこれまでのエピソードをとおして初公開!

この記事は書籍『リセットする力「自然と心が強くなる」考え方46」』からの抜粋です。
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