遺伝性のアルツハイマー病で人生の先が長くないことを悟った人気小説家の涼子と韓国人留学生の青年チャネの恋を描いた映画『蝶の眠り』。主演の中山美穂さんと韓国ドラマで日本でも人気のキム・ジェウクさんにお話を伺いました。
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涼子とチャネは、どんなところに惹かれた?
――小説家の涼子は先が短いことを悟り、自分が何を遺せるかを考えます。小説家志望のチャネとの関係は小説を書くことのバトンを手渡すみたいなところもありますよね。
中山 そうなんです。単なる恋愛というより、そういう人間愛の部分が強かったと思います。ただ、涼子は本当に気が強いし、意志もしっかりしていて、私から見ると、女の部分が大きい人なのかなと思いましたね。女!って感じがしました(笑)。
――そんな涼子のどこに、チャネは惹かれたと思いますか?
キム 涼子に初めて会った時、変わった人だなと思いながらも、惹かれるところがあったと思うんですよ。彼女に会った後、周りの人に「ぶっとんだ人ですよ」って言う。その一言で、もう彼女に惹かれていることがわかりますよね。
――どんな感覚だったんでしょうね。
キム 誰かに会った時、この人のことをもっと知りたいなって思う感覚、あるじゃないですか。それに近いんだと思います。この人ともっと一緒に時間を過ごしたいなっていう、その思いだけだったんじゃないかな。小説家という職業としてより、人として惹かれたんだと思います。
――涼子は素敵な大人の女性ですが、キム・ジェウクさんは年上の女性のどんなところに魅力を感じますか?
キム 基本的に余裕のある女性は素敵だなと思います。一緒にいて、こちらに気を遣わせないし、自然体でいられて話しやすいし。いろいろな経験をして、人生のいろいろな感情を味わっている人は、やはり魅力的だなと思います。でも、人の魅力は年齢に関係ないですね。その人自身が持っているものがいちばん大事だと思います。
――この映画には、お二人の素敵なシーンがたくさんあります。
中山 そうですね、ひとつのシーンを挙げるのが難しいぐらい。涼子の家が舞台になっている場面が多いのですが、あのお家、素敵でしたね。
キム 本当にそうですね。あの空間がすべてでした。
――建築家・阿部勤さんのご自宅だそうですね。そして、やはり、この映画は涼子とチャネのラスト・シーンが印象に残ります。
中山 涼子の状況を考えて、あのような芝居になっています。私自身は演じながら、感情的にかなり来ていましたけどね。
――涼子の人生の最後の時期に、二人は本当に素敵なひとときを過ごしますね。
中山 そうですね。涼子にとっては素晴らしい時間だったんじゃないでしょうか。
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取材・文/多賀谷浩子
中山美穂(なかやま・みほ)さん
1970年、東京都出身。岩井俊二監督の映画『Love Letter』でアジアでの人気も高い。今作は『サヨナライツカ』(10)に続く韓国人監督の作品。
キム・ジェウク さん
ドラマ『コーヒープリンス1号店』(07)で日本でも人気。幼少期を東京で過ごし、日本語も堪能。昨年はドラマ『愛の温度』のヒットも。
『蝶の眠り』
5月12日(土)角川シネマ新宿ほか全国ロードショー
監督・脚本・原案:チョン・ジェウン
出演:中山美穂、キム・ジェウク他
配給:KADOKAWA 2017年 日韓合作映画 112分
© 2017 SIGLO, KING RECORDS, ZOA FILMS
【あらすじ】病が進行していることを知った涼子(中山美穂)は最後の小説に取りかかり、初めて大学の教壇に立つ。そこで出会ったのが韓国人留学生のチャネ(キム・ジェウク)だった。二人の間には、やがて特別な絆が芽生えていくーー。