「料理でもなんでも、頭を使って工夫をしない人はダメ」"ツイッターおばあちゃん"ミゾイキクコさんインタビュー

mizoi08.jpg"ツイッターおばあちゃん"として若者を中心に人気を集める、ミゾイキクコさんをご存知ですか? 76歳でツイッターを始め、現在83歳。毎日50前後ツイートをし、約9万人もいるフォロワーと交流。著書も2冊出版されています。

ツイートするのは暮らしのこと、政治のこと、高齢者問題など多岐にわたり、含蓄ある言葉に、フォロワーもいろいろ考えを巡らせるのが楽しいのです。では実際のキクコさんはどんな方なのでしょう。ご自宅にお邪魔して、たくさんお話を伺いました。
前編となる今回は、キクコさんの日々の暮らしを中心にお届けします。

◇◇◇

「お茶は35年くらいやっています。好きなことは続けた方がいいんです」

キクコさんのお宅を訪ねたのは3月中旬、うららかな春の朝。
インターホンを押すと笑顔で出迎えてくれました。通された居間の大きな窓からは、よく手入れされた庭が見え、縁側に温かな光が降り注いでいます。

「私しかいないから、草むしりも植物を植えるのも、一人でやっているの」とキクコさん。旦那さまと死別されてから一人暮らしで、二人の息子さんは仙台と、隣町にそれぞれお住まいだそう。しっかりとした足取りで、お声もハキハキとしていて、83歳とは思えません。
お庭を見せてもらいながら、まずは日々の暮らしについて伺いました。

「私は早く寝て、朝だいたい5時くらいに目が覚めるの。だから朝起きたら6時くらいまで、まず夜のうちに届いたツイッターに返信しています。朝食を終えてからはテレビをつけながらツイッターを読んでいます。ツイッターは1日5時間くらいやるのよ。それから庭の手入れをしたり、いまの時期なら草むしり。剪定は息子がやってくれるんだけど、後のできることは私が。他は病院に行ったり、お稽古ごとしたりすると1日終わっちゃうの」

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これまでたくさんのお稽古ごとをし、玄関や居間に飾られた刻字(こくじ)もその一つ。いまも続けているお茶は、もう35年にもなるのだとか。二人の恩師は90を過ぎて亡くなりましたが、お弟子さんたちが有志で集まって続けています。

何でもよいから好きなことを続けた方が良いとキクコさんは言います。

「40の手習いって言うけど、私も40歳を過ぎてからお茶を始めて。趣味じゃなくたってお稽古ごとじゃなくたっていい、"器が好き"とかでもいいわけよ。若い人が何かやろうとしているときに、何になるのそんなの無駄じゃないってやりたいことを抑えてしまうのも良くないと思うのよね。何になるかわからないから続けたらいいんだから。どこで実を結ぶかわからないわけですしね、無駄なことなんてありません」

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玄関に飾られたキクコさんの刻字。「赤蜻蛉筑波に雲もなかりけり」という正岡子規の一句です。

 
「料理でもなんでも、頭を使って工夫をしない人はダメ」

「冬は根が緩いから抜きやすいのね。抜かないでいると根が張ってしまって後が大変なのよ」と言いながら、取材の合間にも草抜きをしたり、植木の花の枯葉を摘んだり。

植木は縁側に向かってきれいに並べられています。軒先に広がるのはぶどう棚。夏はきれいなグリーンの屋根になるのでしょう。

「ぶどうはね、マスカットとかね、3種類育てているの。毎年、時期になると女子会の時におすそ分けして」とキクコさん。女子会のメンバーは40~50代の人たち。「福祉センターで、メイクやマッサージをしてくれるボランティア団体がいて、その人たちに声をかけて、6~7人で集まっています。慰労会みたいな感じでやっているのね」

みなさんに手料理を振る舞いますが、「たくさんの料理を一度に作るのは、男の子二人育てたから慣れてるのね」と、負担ではないと言います。下処理したものを常に冷蔵庫に用意しているから、パパッと支度ができるのだそう。

キクコさんのツイッターには、毎日、朝、昼、晩の食事のメニューが写真とともにアップされます。肉や魚をしっかり、お野菜たっぷり、フルーツも添えてとボリューム満点です。それは健康を気づかってのことですが、お料理好きでもあるようです。

 


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(上から順に)ツイッターに掲載された、ある日の朝食、昼食、夕食。卵や肉などたんぱく質をしっかりとることを心掛けているのだそう。野菜や果物も豊富です。

 

「ひき肉1パック買っても1人だから使い切れるわけないのね。だから全部一度に炒めちゃって、フリージングバッグに入れて冷凍するの、平らにしてね。使うときにポキンポキンって折って、ほしい分だけ使えるから。いっぱいそういうのがあるから、献立は考えるというより、それらを出してきてどれを食べようかって選ぶの。それをやるからわりかし早くできるのよ。時間がかかることをあらかじめやっておくと、食事の準備はすぐできるのね。独り暮らしだって、人が大勢いたって、工夫しておけば簡単に品数ができるわけですよね。工夫しない人はね、頭使わないのはダメなわけですよ、家事だってなんだって。炊事するのに学問いらないって言う人いるけど、そういうのはダメなの。何するにだって頭を使う方がよくできるのよ」

キッチン、見せていただいていてもいいですか?というお願いに快く案内してくださいました。ぎっしりと食品が詰まった冷蔵庫の中を見ながら「これ栗でしょ。下ゆでしておけば栗ごはんなんかもすぐできるのよ」。他にも炒めタマネギ、茹でたカボチャや小豆などいろいろなものが冷凍されています。魚も1パックに2尾入っていたら、一度に煮たり焼いたりして残りは冷凍するのだそう。

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ひとり暮らしとは思えないほど、冷凍庫の中はストック食材でいっぱいです。

 

冷蔵庫の中身の充実さにもさることながら、もう一つ驚いたのはキッチンがとても整頓されていること。余計なものは出ていなくて、タイルもピッカピカ。普段からお手入れされているのがよくわかります。

「案外とね、料理たくさんする人ってキッチンきれいなのよね。"きれい"にも2種類あって全然使わない人もきれい(笑)」

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黄色のタイルがかわいいキッチンは窓から光が降り注いで明るい。きちんと整理整頓されています。

 

マメに丁寧に、工夫をしながら生活を楽しむキクコさん。
「お茶淹れましょうね」
そういって出されたお茶は...、ほのかに甘く、香りよく。
「お茶やっている人のお茶はたいていおいしいのよ」と笑い、おしゃべりはまだまだ続きます。

 

取材・文/ほなみかおり 撮影/齋藤ジン

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ミゾイキクコさん

1934年、埼玉県生まれ。お茶の水女子大学理学部を卒業。教職に就いたあと、26歳で専業主婦に。2010年から始めたツイッターで戦争体験や日常のこと、価値観などをつぶやき、含蓄ある言葉に共感が集まっている。著書に『何がいいかなんて終わってみないとわかりません。』(KADOKAWA)、『キクコさんのつぶやき 83歳の私がツイッターで伝えたいこと』(ユサブル)。ツイッター:@kikutomatu
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